2011 Fiscal Year Research-status Report
デルマトポンチン・フィブロネクチン・細胞増殖因子を用いた新しい創傷治療法の開発
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23792048
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 愛子 大分大学, 医学部, 助教 (50404372)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | デルマトポンチン / 創傷治癒 |
Research Abstract |
デルマトポンチン(DP)はフィブリンやフィブロネクチンと濃度依存性に相互作用し、フィブロネクチンを活性化し、線維形成を起こさせることが分かっている。これまで組織から得られるDP(組織DP)を用いて検討してきたが、組織DPは精製量が限られることから、DPを大量に得るために大腸菌に発現させて精製した。この大腸菌に発現させたDP(大腸菌DP)の活性を検討したところ組織DPと同様にフィブロネクチンと濃度依存性に相互作用するが、その作用は組織DPより著しく弱かった。さらに大腸菌DPはフィブロネクチンを混合し一定時間インキュベートしても、フィブロネクチンを不溶化し、活性化しなかった。これらは組織DPと大腸菌DPの高次構造の違いによるものと思われ、DPの生理活性には高次構造が重要と考えた。DPをトランスフェクションし、強制発現させた293細胞をディッシュに培養し、帯状の細胞欠損創を作成した後、培養液中にフィブロネクチンを添加し、DP強制発現293細胞の動態を観察したところ、フィブロネクチン添加群において細胞遊走距離の増加を認めた。DPがフィブロネクチンを活性化し、細胞遊走能を増強させると考えた。手術患者から得られた創傷浸出液と同患者の血清を経時的に採取し、必要に応じてゲルろ過で分画後にウエスタンブロットしデンシトメトリーで定量化したところ、浸出液中のDPは創傷直後に最も濃度が高くその後経時的に減少していくのに対し、血清中のDPは創傷にかかわらず常に一定の濃度であった。仮マトリックスではDPがフィブリン・フィブロネクチン複合体と相互作用し結合するため、DPがフィブリン塊内に固相で存在するために減少していくのではないかと考えた。今後も引き続きDPの創傷治癒過程における活性についての検討と他の細胞増殖因子に与える影響を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いてDPによる活性化フィブロネクチンの生物活性の検討、ならびに局所と血中のDPの動態の検討について順調に経過している。細胞増殖因子とDPやフィブロネクチンとの相互作用の検討を次年度も引き続き行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りDPにより活性化されたフィブロネクチンの創傷治癒促進効果を、マウスを使用して検討する。さらに種々の細胞増殖因子との相互作用を固相法にて検討し、その結果有用と判断された増殖因子でマウスを用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの餌代、飼料代をはじめマウスを用いたin vivoの検討に必要な物品などの購入、学会研究会への参加などを予定しています。
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Research Products
(2 results)