2012 Fiscal Year Annual Research Report
デルマトポンチン・フィブロネクチン・細胞増殖因子を用いた新しい創傷治療法の開発
Project/Area Number |
23792048
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 愛子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50404372)
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Keywords | デルマトポンチン / 創傷治癒 |
Research Abstract |
昨年度までにデルマトポンチン(DP)はフィブリンやフィブロネクチン(Fn)と濃度依存性に相互作用し、Fnを活性化し、線維形成させることが分かっていた。Fnは12個のタイプIリピート(I1-I12)、2個のタイプIIリピート(II1-II2)、15個のタイプIIIリピート(III1-III15)と呼ばれるドメインから構成され、III2-3とIII12-14が相互作用してらせん状の構造をとり安定化していること、III12-14とI1-5が相互作用して細線維を形成することが知られている。大腸菌に発現させたFnのドメインを用いてFnのDP結合部位をELISAにて確認したところ、III1、III13、III14であり、III13-14が最も優位であった。さらにDPはIII2-3とIII12-14の相互作用を抑制し、III12-14とI1-5の相互作用を増強していた。このことからDPは、III2-3とIII12-14の相互作用を抑制することでFnの高次構造を変化させ、またIII12-14とI1-5の相互作用を増強することで、細線維を形成させていると考えた。以上によりDPによるFn活性化のメカニズムが明らかになった。 また逆にDPのFn結合部位はDP-4と呼ばれるぺプチドであることが分かっている。フィブリンを固相化しFnとDP-4の混合物を加えると、DP-4の濃度依存性にフィブリンとFnの結合は増強した。DP-4とFnをインキュベートするとDP-4はFnを不溶化するが、このFnの不溶化(線維化)は電子顕微鏡でも確認できた。以前確認していたFnの細胞接着を増強することと併せて、DP-4はDPの活性ペプチドと考えられた。 最後にFn、DPによる細胞増殖因子の保持能を検討した。FnとVEGFは相互作用するが、DPはFnとVEGFの相互作用を濃度依存性に増強した。今後はVEGFの血管内皮細胞増殖能に与える影響や他の増殖因子への機能修飾について検討したい。
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Research Products
(1 results)