2012 Fiscal Year Annual Research Report
“ケロイド体質”を考えるーFibrocyteとケロイド病態との関連性の探求ー
Project/Area Number |
23792051
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
長尾 宗朝 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00364349)
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Keywords | ケロイド / 創傷治癒 / fibrocyte |
Research Abstract |
“ケロイド体質”という言葉があるように、ケロイド病変は、多発・再発し、拡大していく傾向がある。われわれは、ケロイドの成因には、局所のみならず全身的な影響があると考え、循環血液中の線維芽細胞前駆細胞、つまりCirculating fibrocytes (以下、CFs)の性質解析を行ってきた。その結果、ケロイド多発患者において、CFsの性質異常を認めていることをつきとめた。本研究の目的は、そのような循環細胞であるCFsの性質異常が、実際にどこまでケロイドの成因に関わっているかを検討することにある。 実験は、臨床において説明・同意のもとにケロイド体質患者から10~20mlの採血を行う。得られた末梢血から末梢血単核球(PBMC)を分離したのちにCFsを培養する。ケロイド組織からは線維芽細胞の培養を行い、免疫不全マウス(NODscid mice)において、背部に培養していおいた線維芽細胞の移植を行い、循環血液中へは尾静脈注射によりCFsの移植を行う。そうして移植後の局所における組織の変化につき観察を行うことで計画した。 その前段階として、免疫不全マウスの背部に創を作成し、尾静脈から移植を行ったCFsの創部移行の観察から始めた。CFsの創傷治癒にかかわる影響につき、創閉鎖の観察、組織学的変化、各種サイトカインの変化について検討を行い、創傷治癒とCFsとの関わり、さらにはケロイド成因との関わりにつき検討を行った。 まとめとして、免疫不全マウスを用いたヒトCFs移植併用創傷モデルを作成した。CFs移植による創治癒への影響は認めなかった。しかし創局所にはヒトCFsの局在、動員が認められた。遺伝子レベルでは、ヒトGAPDH、ヒトTGF‐βの発現を認め、移植後14日目で増加する傾向を認めた。これらの結果を第56回日本形成外科学会総会で発表した。
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Research Products
(2 results)