2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792062
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90385394)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リンパ節移植 / リンパ管新生 / 国際情報交流(ドイツ) |
Research Abstract |
リンパ浮腫はリンパ管の機能不全によって引き起こされる。現在の所、リンパ浮腫の根本的な治療は難しく、機能的なリンパ管の回復が望まれている。リンパ浮腫の新たな治療法を開発するためにも生体内におけるリンパ管の発生・再生メカニズムを知ることが特に重要である。本研究の最終目標はリンパ管再生機序を明らかにすることで、リンパ管を効率よく再生させ、新たなリンパ浮腫治療法の開発を目指すものである。本研究期間内ではそのリンパ管形成機序を正確に理解するために、「リンパ節移植モデル」と「リンパ管発生モデル」の2 モデルを用いて以下の事項を3カ年で遂行するリンパ浮腫治療法の開発を目指すものである。 まず、リンパ節移植モデルを構築するために、研究計画通り、ドイツのHannover Medical SchoolのPabst教授の下でリンパ節移植法を教授して頂いた。その際ラットを用いてリンパ節の分割移植を行った。移植後4週間後に色素(Berlin Blue)を注射し、リンパ管が再生することを確認した。 帰国後、マウスを用いてリンパ節移植モデルの作製に取りかかった。リンパ節移植後1~4週間まで経時的にサンプリングを行い、凍結切片作製及びtotal RNAの抽出を行った。 移植後、3週目まで色素注入法によるリンパ管の開通を確認したが、3週目まではリンパ管の開通は確認できなかった。また、total RNAを用いてRT-PCRを行った結果、VEGFC等のリンパ管新生因子が発現していることが確認できた。 また、24年度に計画をしている「リンパ管発生モデル」のためのマウス胎仔(E16.5~E18.5)のサンプリングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、渡独してリンパ節移植法を教授して頂けた。また、リンパ節移植は現在のところ順調に成功している。定量を行うためのtotal RNAのサンプリングも行った。RT-PCR法により、リンパ管形成関連分子の発現の確認も行うことができた。今後、種々の因子についての定量を行う予定であるが、概ね順調である。当初の計画ではin situ hybridizationを行う予定であったが、現在プローブの条件検討を行っているところである。しかし、24年度に計画していた「リンパ管発生モデル」のサンプリングを先行して行なった。以上のことを総合的に見ると、全体としては順調、若しくは若干計画よりはやく進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き、23年度同様に移植リンパ節を用いて、多重免疫染色法を用いた形態学的解析、in situ hybridizationを用いた分子形態学的解析を行っていく。2)Foxc2 欠損マウスを用いた局所リンパ管形成機序の分子形態学的解析(1)多重免疫染色法を用いたリンパ管形成への間質細胞の関与の証明局所のリンパ管形成を理解するために、間質細胞が現れることが確認されている脾臓を中心に観察する。リンパ管形成関連分子等に対する抗体を用いて多重免疫染色を行い、間質細胞とリンパ管との位置関係を三次元イメージングし、形態的・分子的に検証する。また、間質細胞とリンパ管の接する部位は電子顕微鏡観察を行い、細胞間結合の有無を検索する。(2)分子レベル・遺伝子レベルでの機能的役割の検証間質細胞を検証する際、増殖因子や細胞の遊走に関わるケモカインなどを産生する細胞、産生量などを定性的・定量的に併せて考察する必要がある。そこで、正常およびFoxc2欠損マウスのタンパク発現、遺伝子発現の違いを検討する。定量化についてはRT-PCR若しくは定量的PCRとウエスタンブロット分析等を組み合わせて行う。その結果を踏まえて再び(1)で示した形態学的解析により発現細胞を特定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に研究消耗品に使用する予定である。特に、実験動物の購入や抗体類、分子生物学的試薬類を購入する。また、研究成果を国内外に発表するために国際学会や国内での発表するための費用に充てる。さらに、Hannover Medical SchoolのPabst教授らと研究の打ち合わせをするための費用として使用する予定である。
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