2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792062
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90385394)
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Keywords | リンパ節移植 / リンパ管新生 / 国際情報交流(ドイツ) |
Research Abstract |
[目的] 腫瘍などの外科的治療の際にリンパ節転移を起こしている可能性を考えリンパ郭清を行うことが多い。しかし摘出されたリンパ節は再生することはなく、その結果リンパ管の機能不全によるリンパ浮腫が引き起こされる。リンパ浮腫の根本的な治療は難しく、患者のQOLを著しく低下させるため、機能的なリンパ管の回復によるリンパ浮腫の根治が望まれている。本研究では機能的リンパ管を効率よく再生させるために「リンパ節移植モデル」と「リンパ管発生モデル」を用いてリンパ管再生機序を正確に理解することで、新たなリンパ浮腫治療法の開発を目指す。 [実施計画成果] 平成23年度に開発した「マウスにおけるリンパ節移植モデル」の解析を引き続き行っている。色素注入法の結果、リンパ節移植後4週間目になり機能的リンパ管の開通が確認できた。しかし、移植後4週間目には移植したリンパ節が極端に小さくなっていた。移植後7週間目に確認した所、リンパ節は正常のリンパ節と同じ大きさにまで回復していた。以上より、リンパ管の再生は4週で行われるものの、移植リンパ節の回復にはより時間がかかることが分かったが、リンパ節の矮小化とその回復のメカニズムは現在の所不明である。移植リンパ節のリンパ管再生関連分子の解析をするために、real-time PCRを用いたマススクリーニング用のプレートの開発も行った。 また、「リンパ管発生モデル」のため、平成23年度にサンプリングしたマウス胎仔18.5日目の脾臓を多重免疫染色法により観察したところ、局所のリンパ管はリンパ管内皮の発芽だけでなく、間質に前駆細胞のような細胞が現れてリンパ管形成が行われていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 「リンパ節移植による機能的リンパ管の再生誘導」については24年度までに達成することができた。また、再生における分子的なメカニズムを知るためにスクリーニング用のプレートの作成も行い、RNAのサンプリングも終了しており順調に成果があがりつつある。また、より病態に近い状態でのリンパ管再生誘導を行うために、FoxC2遺伝子欠損マウスにおけるリンパ節移植を行った。これは25年度に計画していたものであるが、FoxC2欠損マウスの供給状況を考慮して早めに始めた。FoxC2遺伝子欠損マウスに正常リンパ節を移植したものと、正常マウスに遺伝子欠損マウスのリンパ節を移植したものを作成し、現在解析中である。 2) 「リンパ管発生モデル」において、脾臓を用いたリンパ管発生を形態学的に観察し、間質に現れる細胞の特徴がいくつか明らかになったが、今後もより詳細な検討をしていく予定である。また、分子レベル、遺伝子レベルにおける機能的役割を検討するために使用するケモカイン関連抗体・in situ hybridizationの条件検討を行い、いくつかのケモカインについては抗体、プローブの使用が可能となった。 以上のことを総合的に判断すると全体として順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 移植リンパ節を用いてリンパ管再生誘導:24年度に引き続き、リンパ管再生における分子的なメカニズムの検討を行っていく。リンパ節移植における機能的リンパ管の再生誘導は成功したが、その分子的メカニズムの詳細はまだ明らかになっていない。さらに一度リンパ節が矮小化した後に元の大きさに回復する理由も分かっていない。そこで移植リンパ節の組織学的な解析を行い、リンパ管再生の分子メカニズムを検索すると共にリンパ節としての機能に異常がないのかを検討する。また、移植リンパ節が長期間にわたってに機能できるのかどうかを検討するために、移植後6ヶ月程度のモデルも作成し、同様に解析する。 2) FoxC2欠損マウスを用いたリンパ管再生誘導の解析:リンパ管機能不全モデルマウスであるFoxC2遺伝子欠損マウスに正常マウスのリンパ節を移植したモデルを作成し、機能的なリンパ管の再生誘導が可能なのかを検討する。また逆に、正常マウスにFoxC2遺伝子欠損マウスのリンパ節を移植し、それぞれを比較検討を行う。特に違いが顕著な場合は、リアルタイムPCR法などを用いて発現遺伝子の違いなどを詳細に検討する。 3) リンパ管形成への間質細胞の関与の証明:24年度に引き続き、リンパ管発生モデルを用いてリンパ管形成を多重免疫染色法や電子顕微鏡的に観察する。具体的にはマウス胎仔17日目-新生仔の脾臓、舌などを用いてリンパ管マーカーによる多重免疫染色を行い、形態学的な観察を行う。特に細胞間結合の有無などの詳細な解析も引き続き行っていく。また、増殖因子や細胞の遊走を促すケモカインを産生する細胞を同定するために、RT-PCR法やウエスタンブロット分析等の分子生物学的な手法も適宜用いて検証していく。 4) まとめ:1)~3)の結果を総合的に踏まえ、国際学会発表や国際学術雑誌への投稿準備を行い、本研究で得られた結果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に研究消耗品に使用する予定である。特に実験動物の購入と飼育費用、抗体類や分子生物学的研究試薬を購入する。また、得られた実験結果の解析費用ににも使用する。 研究成果を国内外に発表するため、国際学会や国内学会などに参加する費用に充てる。さらに、海外研究者(Hannover Medical SchoolのProf. Pabst)らとの研究打合せをするための費用としても使用する予定である。 研究内容の進展具合によっては論文投稿料や印刷費、英文校閲費などの論文投稿に関わる費用としても使用する予定である。
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Research Products
(11 results)