2011 Fiscal Year Research-status Report
外傷直後の凝固障害の病態解明とその制御に関する研究
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23792068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 峰司 北海道大学, 大学病院, 助教 (10374282)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 組織因子 / 線溶 / 凝固 / フィブリノゲン分解 |
Research Abstract |
【はじめに】組織因子(TF)投与DICモデルは、線溶亢進型DICのモデルとして認知されている。また、大量のTFが血液と接触する病態は、鈍的外傷モデルとしても捉えることができる。しかし、本モデルにおける線溶の動態は、十分把握されていない。【目的】TF投与モデルにおける線溶の動態を検証する。【方法】9週齢のWistar/ST系雄性ラットをTFの投与量により0U/kg、4U/kg、16U/kgの3群(各6匹)に分けた。pentobarbital麻酔下に、右頚静脈(TF投与ルート)と左大腿動脈(動脈圧モニタリング・採血ルート)にcannulationを行った。設定のTFを4時間かけて投与しつつ、0、2、4時間目に経時的に採血を行った。TFの投与終了後、各臓器を採取し病理学的検討を行った。【結果】各グループとも経過中、低血圧やlactateの上昇は認めなかった。TFの投与量に依存してfibrinogen分解産物(FgDP)が増加していた。また、FgDPは、TFの投与開始から経時的に増加していた。しかし、ROTEMを用いた検討では線溶亢進(Clotの早期溶解)は認めなかった。全てのグループでtissue-type plasminogen activatorの増加は認めなかった。16U/kg群ではplasminogen activator inhibiterの増加を認め、腎糸球体に血栓形成を認めていた。【結語】大量のTFはt-PAの著増を伴わないfibrinogen分解を引き起こしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織因子(TF)投与モデルに対しての低血圧負荷は、モデル作成が困難であったため、検討を断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
TF投与モデルに対しての低酸素負荷モデルの確立を行う。ドラムショックモデルにおける検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の未使用額10,190円は、平成24年3月に購入したラットクローズドSPF Slc:Wistar/STの支払いが4月以降となるため生じたものである。次年度は、上記の低酸素負荷のための動物実験用麻酔器、実験動物費と検査関連費に研究費を使用する計画。
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