2012 Fiscal Year Annual Research Report
外傷直後の凝固障害の病態解明とその制御に関する研究
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23792068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 峰司 北海道大学, 大学病院, 助教 (10374282)
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Keywords | 組織因子 / 線溶 / 凝固 / フィブリノゲン分解 |
Research Abstract |
【はじめに】組織因子(TF)投与DICモデルは、線溶亢進型DICのモデルとして認知されている。また、大量のTFが血液と接触する病態は、鈍的外傷モデルとしても捉えることができる。しかし、本モデルにおける線溶の動態は、十分把握されていない。【目的】TF投与モデルにおける線溶の動態を検証する。【方法】9週齢のラットをTFの投与量により0U/kg(control)、4U/kg(low dose)、16U/kg(high dose)の3群(各6匹)に分けた。麻酔下に、右頚静脈(TF投与ルート)と左大腿動脈(動脈圧モニタリング・採血ルート)にカニュレーションを行った。設定のTFを4時間かけて投与しつつ、0、2、4時間目に経時的に採血を行った。【結果】各グループとも経過中、低血圧や血清乳酸値の上昇は認めなかった。TFの投与量に依存して血小板数や凝固線溶系データの悪化を認めた。α2-plasmin inhibitorはhigh dose群で有為に低下していた。フィブリノゲン分解産物はTFの投与量に比例して増加していた。plasmin-α2-plasmin inhibitor complexも増加していた。【結語】大量のTFは組織低灌流を伴わないフィブリン分解とフィブリノゲン分解を伴ったDICを引き起こしている。α2-plasmin inhibitorの減少とplasminの増加が、TF投与による線溶亢進型DICの主な原因と考えられる。
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