2012 Fiscal Year Research-status Report
重症SIRSの炎症反応に対するautophagy関連遺伝子の及ぼす影響
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23792070
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 友則 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90598236)
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Keywords | 重症敗血症 / severe sepsis / 遺伝子多型 / IL-1ra VNTR |
Research Abstract |
本研究への同意が得られた2001.10~2008.9までに当院ICUに入室した261名のDiscovery cohort と、2008.10~2012.9までに当院を含む5施設のICUに入室した793名のvalidation cohortに分け転帰とIL1RA VNTRとの関連を検討した。さらに、健常者80名を対象にLPSで刺激した全血の血清中IL-6、IL-1ra濃度を測定しIL1RA mRNA発現量を測定した。 Discovery cohort 及びvalidation cohortにおいて、RN*2 alleleの保有数が高くなるにつれICU死亡率、severe sepsis罹患率ともに有意に上昇していた(P adj=.002)。また、経過中IL-1ra RN*1.2の有無によるIL-1ra/IL-1血中濃度比と救命率を比較したところ、minor alleleを保有している方が、IL-1ra/IL-1血中濃度比が有意に低く救命率も有意に低いことが判明。In vitroでのLPS刺激実験においては培養血清中IL-6、IL-1ra血中濃度は2つの多型間に有意な差は認めなかったが、IL1RA mRNA発現量はRN*1.2症例では有意に減少していた。 これまで当施設において重症病態およびcytokine血中濃度と遺伝子多型との関連を報告してきた。中でもIL-6血中濃度最高値が10000 pg/mL以上にまで異常上昇した重症例において、IL-1ra VNTRのminor allele頻度が増加する事を報告している。IL-1raは炎症性サイトカインであるIL-1の結合を競合的に阻害し感染などの侵襲によるIL-1の作用を抑制し抗炎症性作用を発揮することから今回の結果から考察すると、RN*2 alleleがsevere sepsis患者の転帰の悪化に影響を与えている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで2年間かけて研究を行い、試行錯誤しながらも大まかな結果を導き出すことができた。遺伝子多型とsevere sepsis患者の転帰との関係に関しては未だ議論の尽きないところであり、今回の研究結果はそれに対して一つの新たな見解として提出することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回までの結果を元に、本年6月にアメリカ サンディエゴで開催されるShock Societyにて研究成果を発表する予定である。また、博士論文作成にも着手しており、本年度中に英文雑誌への投稿を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、国際学会発表のための資金、英文論文の翻訳および添削費用などに充てる予定である。
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Research Products
(1 results)