2012 Fiscal Year Annual Research Report
血管内経時的測定法を用いたスーパーオキシドアニオンラジカルの発生源と産生量の検討
Project/Area Number |
23792074
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
戸谷 昌樹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00585721)
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Keywords | フリーラジカル / 酸化ストレス傷害 / スーパーオキシドアニオンラジカル / 生体内持続ラジカル測定法 / アポシニン / マロン酸アルデヒド / HMGB1 / ICAM-1 |
Research Abstract |
本研究の目標は、生体侵襲の原因物質となり得るスーパーオキシドアニオンラジカル(O2-・)の動態を生体内で測定し、酸化ストレス傷害の病態を解明することである。生体内の測定には、生体内で安定している鉄ポルフィリン重合膜を用いた全合成型の電気化学活性酸素種センサーを用いて測定した。生体内測定センサーはO2-・濃度に対して感度にばらつきを認めたため、生体外で補正を行った後に生体内で測定をした。 ラット前脳虚血再潅流モデルを用いて、頚静脈内でO2-・を測定した。O2-・の主な発生源であるnicotinamide adenine dinucleotide phosphate (NADPH)オキシダーゼとxanthine oxidase (XO)について、それぞれの抑制剤であるApocyninおよびAllopurinolを投与してO2-・の発生および酸化ストレス傷害を検討した。O2-・は虚血再潅流後に上昇を認め、ApocyninとAllopurinolにより抑制を認めた。酸化ストレス傷害について血清と脳組織のマロン酸アルデヒド(MDA)を測定して検討した。ApocyninおよびAllopurinolはそれぞれ酸化ストレス傷害を軽減させたが、相乗効果は認めなかった。また、急性炎症反応の指標であるHMGB1および血管内皮細胞傷害の指標となるICAM1の測定を行い、同様の結果を認めた。 ApocyninとAllopurinolはラット前脳虚血再潅流モデルにおいてO2-・の抑制に関与しており、XO系とNADPHオキシダーゼ系がO2-・の主な発生源として考えられた。しかし、ApocyninとAllopurinolの相乗効果を認めなかったことから、XO系とNADPHオキシダーゼ系が同一カスケードに属する可能性や、ミトコンドリアやアラキドン酸など他のカスケードが関与する可能性が示唆された。
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