2011 Fiscal Year Research-status Report
下肢虚血再還流障害の病態解析~新たな治療法開発を目指して~
Project/Area Number |
23792078
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
加藤 菜穂 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20457766)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 虚血再還流 / IL-6 / iNOS |
Research Abstract |
両後肢緊縛/再還流モデルマウスにおいて、再還流後の腎におけるIL-6mRNA発現誘導及びiNOSmRNA発現抑制が観察されたことから、IL-6 and/or iNOSを抑制する条件を加えて検討することとした。まず抗炎症作用を有する薬剤として好中球エラスターゼ阻害剤・シベレスタットを選定し、種々の投与条件で生存分析、ELISA法を用いたサイトカイン血中濃度測定、血液酸化度・抗酸化度測定、RT-PCR法による肺・肝・腎における各種サイトカインmRNA発現分析を行った。シベレスタット30mg/kgを緊縛解除10分前に腹腔内投与(以下STR群)し、48時間の生存状況を観察したところ、生食投与群(以下NTR群)と比較して生存率に変化は認めなかった。また、各群緊縛解除3時間後の血液酸化度・抗酸化度に差は見られなかった。緊縛解除3時間後の血中サイトカイン濃度は、TNF-a・IL-1a・IL-1b・G-CSFでNTR群に比較しSTR群で有意に高く、Leptin・IGF-1・IL-6・VEGFは群間に有意差はなかった。臓器別mRNA発現量は、肺及び肝ではシベレスタット投与による有意差を認めず、腎ではレプチンレセプター及びTNF-aの有意な低下とIGF-1の有意な増加を認めた。以上から、今回の条件及び観察時間ではシベレスタットの緊縛性ショックに対する有効性は確認できなかったが、一部項目で生食投与群に対して有意な変化が観察され、検討に値すると考えられた。一方で、継代繁殖しているIL-6KOマウス及びiNOSKOマウスを交配してのIL-6/iNOSダブルノックアウト(DKO)マウス作成を試みており、現在第1世代(IL-6+/-・iNOS+/-)同士を交配した第2世代のgenotyping中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NOS阻害剤投与による実験条件選定には未着手である(本年度7月以降に着手予定)。IL-6/iNOS DKOマウス作成については、第2世代の半数以上のgenotypeがIL-6+/-・iNOS+/-であり、現在のところDKOマウスで成体に達したものはない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はNOS阻害剤投与による実験を選定するとともに、引き続きDKOマウス作成を行う。後者については、成体に達する前に死亡したマウスの検討も加え、このgenotypeが致死的である可能性も考慮する。シベレスタット投与群に関しては、すでに採取済みの検体を用いて、リアルタイムPCRによる分析を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度同様、マウス飼育費、RNA抽出試薬・器具、リアルタイムPCR試薬、血液分析試薬等の購入に使用する。
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