2011 Fiscal Year Research-status Report
外科的侵襲後の敗血症性急性肺損傷モデルにおけるHMGB1の動態と治療法の開発
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23792085
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安倍 晋也 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20383896)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | HMGB-1 |
Research Abstract |
敗血症・敗血症性ショックや急性肺損傷などに2次的に移行しやすい重症熱傷・多発外傷・出血性ショックといった致死的状況にある患者の治療に役立てるため、我々の開発した熱傷とエンドトキシンの2段階刺激モデルを用いて前課題で示したHMGB-1が熱傷後の腸管で過剰に発現し、本モデルにおいて致死的病態に対し重要な役割を持つことに続いて、本課題では腸管内におけるHMGB-1とTh17細胞との関連性を明らかにすることを目的としている。今年度は熱傷マウス(背部を剃毛・除毛した7週齢の雄性Balb/cマウス、エーテル麻酔下に背部への5秒間の蒸気暴露を行い、体表面積の15%にIII度熱傷を作成。熱傷作成後は速やかに生食4mLを腹腔内に投与)とシャムマウスにおける熱傷作成後11日目に回腸から抽出した粘膜固有層単核球をCD3またはLPSで刺激して、上清中のサイトカイン量を定量した。CD3刺激によるサイトカイン量は主にリンパ球系のサイトカイン産生能を、LPS刺激は主に単球系のサイトカイン産生能を反映すると考えられる。熱傷侵襲はCD3刺激によるTNF-a、IL-6、IL-17産生能を亢進させたの腸管内のリンパ球系細胞に関する解析結果では、熱傷後11日目のマウスの腸管で、IL-17陽性細胞中のTh17細胞(IL-17陽性、CD4陽性細胞)の占める割合が増加していた。特に、LPS刺激を行ったマウスでは有意に増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前課題でHMGB-1が熱傷後の腸管で過剰に発現し、本モデルにおけるHMGB1の重要性を示した。さらに熱傷後の腸管内ではTh17細胞が増加することを見出しており、本課題では腸管内におけるHMGB-1とTh17細胞との関連性を明らかにすることを目的とする。とシャムマウスにおける熱傷作成後11日目に回腸から抽出した粘膜固有層単核球をCD3またはLPSで刺激して、上清中のサイトカイン量を定量したところ、熱傷侵襲はCD3刺激によるTNF-a、IL-6、IL-17産生能を亢進させ、腸管内のリンパ球系細胞に関する解析結果では、熱傷後11日目のマウスの腸管で、IL-17陽性細胞中のTh17細胞(IL-17陽性、CD4陽性細胞)の占める割合が増加していた。特に、LPS刺激を行ったマウスでは有意に増加していることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
同様の病態における各種検体におけるHMGB-1発現量を確認し、腸管内におけるHMGB-1とTh17細胞との関連性を明らかにする。さらにそのメカニズムに基づき治療的介入を行い、その効果を確認、メカニズムを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物購入や飼育、必要物品薬品・資材の購入など。平成23年度研究費の繰越は、実験進捗状況全体における諸事情(予想外の実験動物の死亡、想定からは過度には逸脱しない程度の手技の不調など)により発生した。課題のまとめに入る平成24年度研究費に繰り越しし、より慎重な研究の遂行に役立てる(実験をさらに円滑に進めるための必要物品薬品や実験動物の購入など)予定である。
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