2011 Fiscal Year Research-status Report
シアン化合物中毒に対する新たな全合成解毒剤に関する研究
Project/Area Number |
23792089
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山際 武志 東海大学, 医学部, 講師 (70439727)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | シアン化合物中毒 / イミダゾール・シクロデキストリン |
Research Abstract |
背景:シアン化合物は強力な毒性を有しており、迅速な解毒剤治療が求められる。我々はシアン化合物中毒に対する新たな解毒剤としてシクロデキストリン二量体と水溶性鉄ポルフィリンからなるイミダゾール・シクロデキストリン(ImCD)を開発した。目的:シアン化合物中毒に対するImCDの有効性を検討すること。方法(1)In vitroにおける解毒剤の評価方法の確立:マウス線維芽細胞株(NIH-3T3)を用いて、シアン化カリウム(KCN)、既存の解毒剤(ヒドロキソコバラミン:OHcb)を共に、シアン化水素の酸解離定数であるpH9.20に調節した直後に同時添加し、MTTアッセイにてチトクロームcオキシターゼ活性を評価し、用量依存的な解毒効果が得られるか否かを検討した。(2)In vitroにおけるImCDの効果:NIH-3T3に対しpH9.20に調節したKCNとImCDを等モルで同時添加し、MTTアッセイを施行した。(2)In vivoにおけるImCDの効果:LD100量のKCNを経口投与したBALB/cマウスに対して、ImCD、Sodium Nitrite(SN群)を経静脈的に前投与もしくは呼吸停止直後に後投与し、24時間生存率をそれぞれ生理食塩水(Saline群)と比較した。結果:(1)OHcbの用量依存的にチトクローム活性の改善が認められた。(2)ImCDの用量依存的にNIH-3T3のチトクローム活性の改善が認められた。(2)前投与、後投与共に、ImCD群はSN群、Saline群より有意に24時間生存率を改善した。結語:ImCDはシアン化合物中毒に対して有効である可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroの研究において、ImCDは細胞生存率を改善することを確認している。また、in vivoの研究において、ImCDはシアン中毒BALB/cマウスの生存率の改善が確認されており、概ね順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はIn vivoの研究を中心に行う予定である。シアン中毒SDラットにImCDを経静脈的に投与し、血圧、呼吸、血液生化学検査などの生理学的パラメーターがどのように変化するかを生理食塩群と比較して検討する。さらに、病理組織学的検討も追加検討する予定である。平成23年度に残額が発生した理由:シアン化合物を扱うin vitroの実験ではシアン化水素が発生するため、複数の細胞培養器が必要である。そのため細胞培養器を新たに購入予定であったが、研究室内で代用が可能であったため残額が発生した。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
すでに実験可能な設備は整っており、大型機器の購入予定はない。主にラットや試薬類などの消耗品を購入する予定である。平成23年度の残額(759,676円)は病理組織学検査(主に免疫染色)に必要な試薬およびラット血中シアン濃度測定に使用する試薬などの消耗品に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)