2012 Fiscal Year Annual Research Report
シアン化合物中毒に対する新たな全合成解毒剤に関する研究
Project/Area Number |
23792089
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山際 武志 東海大学, 医学部, 講師 (70439727)
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Keywords | イミダゾール・シクロデキストリン / 青酸化合物 / 解毒剤 / 超分子錯体 |
Research Abstract |
本研究の目的は青酸化合物中毒に対する新たな解毒薬として開発された水溶性ポルフィリンとシクロデキストリン二量体から成るイミダゾール・シクロデキストリン(FeIIIPIm3CD)のin vitro、in vivoにおける効果を明らかにすることである。 (1)シアン化カリウム(KCN)に対するFeIIIPIm3CDの解毒効果をマウス線維芽細胞株におけるチトクローム活性と細胞生存率で評価した結果、FeIIIPIm3CDはKCNに対して用量依存的な解毒効果を示した。更に、KCNと等モルのFeIIIPIm3CDを細胞に添加すると、対照(培地のみ)のチトクローム活性、細胞生存率と有意差を認めなかった。 (2)100%致死量のKCNを胃管から強制投与する中毒マウス(BALB/c)モデルを作成した。前投与実験として中毒マウスモデルに対してKCNと等モル量のFeIIIPIm3CD、ヒドロキソコバラミン(OHCbl:既存の解毒剤)、0.9%生理食塩水をKCN投与直前に経静脈投与した。後投与実験としてKCN投与後に呼吸停止を確認した直後に上記解毒剤をKCNの倍モル量を経静脈投与した。中毒マウスの24時間生存率は前・後投与実験共にOHCblと同等で生理食塩水より有意に良好であった。FeIIIPIm3CDを投与された中毒マウスの呼吸様式はOHCbl、生理食塩水より良好であった。 (3)SDラットの動脈血液にFeIIIPIm3CD、OHCblを添加した結果、動脈血液中カルボキシヘモグロビン(CO-Hb)濃度、メトヘモグロビン(Met-Hb)濃度に与える緩衝作用はFeIIIPIm3CDがOHCblより有意に小さかった。 以上のようにFeIIIPIm3CDはIn vitro、in vivoにおいてKCNに対して良好な解毒作用を有していることが確認された。
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Research Products
(2 results)