2011 Fiscal Year Research-status Report
上行結腸穿孔敗血症モデルにおける転写因子エヌエフカッパビーとアラキドン酸の役割
Project/Area Number |
23792090
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
虻川 有香子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00318148)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | アラキドン酸カスケード / NFkB / ロイコトリエン |
Research Abstract |
アラキドン酸から発生するロイコトリエンやプロスタグランジンは、重要な炎症反応のメディエーターである。近年、プロスタグランジンはシクロオキシゲナーゼ(COX)の経路だけではなく、cysLT1受容体やLTC4によっても生じることが判明した。またこの反応は、炎症反応のシグナルを受けていない時は生じないことからCOX-2によるものであると断定されLPSによる刺激も同様のCOX-2の活性により生ずる。よってこのcysLT1受容体拮抗薬やLTC4の拮抗により、COX-2の活性化が抑制され、上行結腸穿孔ステント敗血症モデルの炎症反応も抑制され、生存率の増加につながると仮説をたてた。一方、1986年に免疫グロブリンのkL鎖遺伝子のエンハンサー領域に結合する転写因子として同定されたNF-Kbは炎症の刺激に対する細胞内シグナルとして重要な働きを持つため、この経路を阻害すれば炎症のカスケードを根本から断つ事が出来ると推測する。LPSの実験系では立証されている。本研究計画にて本年度は無治療群のBALF中インターロイキン、ロイコトリエンの測定を行い関連性を明らかにした。従来の対症療法から、炎症反応の阻害という病態の根本的治療法への変換、上行結腸穿孔ステント敗血症モデルを使用することでより臨床に即したものとなる。 NFkBの阻害ならびにcysLT1,LT4受容体阻害により、炎症の程度がどこまで押さえられるか、病理学的ならびにメディエーターの測定解析は重要なものであり、その予測される結果の重要性は高い。また生存率まで言及することができ、臨床医学への貢献も期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気管洗浄液内の、ロイコトリエンC4/D4/E4の濃度、血清中のTNF-alpha、IL-6の濃度の測定を各群で行った。群はそれぞれSham operationの6時間後 (Sham ope for 6hrs)、腸管穿孔後6時間群 (CASP for 6hrs)、腸管穿孔後24時間群 (CASP for 24hrs) である。LT C4/D4/E4 (ng/ml) の結果は、Sham ope for 6hrs 0.429±0.157、CASP for 6hrs 5.402±0.689、CASP for 24hrs 4.874±0.737であった。CASP for 6hrsの群で、高値を示したのは気管内洗浄液中の白血球数が多かったのが理由だと思われるが、今後白血球数のカウントを行う予定である。TNF-alpha (pg/ml) は、Sham ope for 6hrs 35±10、CASP for 6hrs 218±175、CASP for 24hrs 1352±1293であった。IL-6 (pg/ml)は、Sham ope for 6hrs 48±45、CASP for 6hrs 1499±499、CASP for 24hrs 11454±9572であった。拮抗薬投与群は投与量の検討を行っている。達成度は95%と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
治療群のプロトコールを作成し、投与時期、投与回数を含めプロトコールを作成する。治療群の気管洗浄液内のロイコトリエン量、血清中のTNF-alpha、IL-6の量を測定する。拮抗薬の効果とその評価ならびに実験結果の発表、論文の作成国内外の学会にて発表し、意見交換を行い論文発表をし貢献する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
治療群(NFkBデコイ投与群、MK886投与群、NFkBデコイ投与+MK886投与群)の治療薬投与量の確立のための予備実験、ならびに確立後の気管内洗浄液内ロイコトリエン濃度、インターロイキン濃度の測定、ならびに臓器内のRNA測定を行う予定である。
|