2012 Fiscal Year Research-status Report
上行結腸穿孔敗血症モデルにおける転写因子エヌエフカッパビーとアラキドン酸の役割
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23792090
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
虻川 有香子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00318148)
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Keywords | 敗血症 / アラキドン酸カスケード / NFkB |
Research Abstract |
アラキドン酸から発生するロイコトリエンやプロスタグランジンは、重要な炎症反応 のメディエーターである。近年、プロスタグランジンはシクロオキシゲナーゼ(COX)の経路だけではなく、cysLT1受容体やLTC4によっても生じることが判明した。またこの反応は、炎症反応のシグナルを受けていない時は生じないことからCOX-2によるものであると断定されLPSによる刺激も同様のCOX-2の活性により生ずる。よってこのcysLT1受容体拮抗薬やLTC4の拮抗により、COX-2の活性化が抑制され、上行結腸穿孔ステント敗血症モデルの炎症反応も抑制され、生存率の増加につながると仮説をたてた。一方、1986年に免疫グロブリンのkL鎖遺伝子のエンハンサー領域に結合する転写因子として同定されたNF-Kbは炎症の刺激に対する細胞内シグナルとして重要な働きを持つため、この経路を阻害すれば炎症のカスケードを根本から断つ事が出来ると推測する。LPSの実験系では立証されている。本研究計画にて本年度は無治療群のBALF中インターロイキン、ロイコトリエンの測定、解析によりNFkBならびにcysLT1、LT4受容体の関連性を明らかにした。 従来の対症療法から、炎症反応の阻害という病態の根本的治療法への変換、上行結腸穿孔ステント敗血症モデルを使用することでより臨床に即したものとなること。 NFkBの阻害ならびにcysLT1,LT4受容体阻害により、炎症の程度がどこまで押さえられるか、病理学的ならびにメディエーターの測定解析は重要なものであり、その予測される結果の重要性は高い。また生存率まで言及することができ、臨床医学への貢献も期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
16Gでの腸管穿孔敗血症モデルは確立しており、その気管洗浄液中のロイコトリエンも上昇している。気管洗浄液中のLTC4/D4/E4はCASP 6時間群が24時間群と同等の上昇を認めていた。この理由をつきとめるべく、血液中の白血球数をカウントしたところ、CASP 6時間と24時間では敗血症のため24時間群が1/3以下となっており、肺内の白血球数が6時間では高いため、気管洗浄液中のLTC4/D4/E4も高くなっていることが証明された。 ただ16Gでの腸管穿孔敗血症モデルは死亡率が高く、5LOのブロッカーであるMK886を投与しても、マウスの活動性の上昇、白血球数の低下にはつながっていない。(CASP 6hrs vs MK886:WBC counts in BALF MEAN 35 vs 31)
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Strategy for Future Research Activity |
モデルを確立されている緩徐な20G,22Gのステントにすることにより、死亡率を少し低下させ、より多くの治療効果がわかるようにする。NFkB decoyの投与ならびにMK886,MK571のブロッカー投与および両者の併用により死亡率の改善、気管洗浄液中のロイコトリエンが低下するかを確認していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
治療群(NFkBデコイ投与群、MK886投与群,NFkBデコイ+MK886投与群)の治療薬投与量確立のための予備実験、確立後の気管洗浄液中のロイコトリエン、インターロイキン濃度の測定を行う予定である。
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