2011 Fiscal Year Research-status Report
短時間一過性四肢虚血がもたらす心筋虚血耐性メカニズムの解明
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23792094
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大場 豊治 久留米大学, 医学部, 助教 (10389257)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 心筋虚血 / プレコンディショニング / サイトカイン / 腎血流 / 腎神経 |
Research Abstract |
我々はヒトにおいて、一過性上肢虚血後に心筋保護に重要とされるサイトカイン(G-CSF,EPO)の血清濃度が上昇するかどうかを検証した。その結果有意差をもって血清EPO濃度の上昇を認めた。次に一過性下肢虚血後のマウスにおける血清EPO濃度の推移と腎臓でのEPOm-RNAの発現を検証した。ヒトと同様一過性下肢虚血後マウス腎臓においてEPOm-RNAの発現が亢進し、血清EPO濃度の上昇を認めた。さらにEPOの誘導因子であるHIF1αの発現が腎臓で亢進していた。一過性下肢虚血後EPOにより心臓で誘導される心筋保護シグナル(STAT3,AKTERK1/2)もリン酸化が亢進し、その結果として心筋梗塞層の縮小も見られた。HIF1αは低酸素状態でその発現が安定化することから、我々は続いて一過性下肢虚血後マウス腎臓の血流をレーザードップラーで評価した。腎血流は一過性下肢虚血後低下することが明らかになり、ヒトでのドップラー腎血流エコーにおいても同様の結果が得られた。これらの一過性下肢虚血後の腎血流低下とHIF1α,EPOの発現亢進は腎神経をフェノールで除神経したマウスでは確認できず、心筋梗塞層の縮小も見られなくなった。以上の結果から、一過性四肢虚血後獲得される心筋保護には、腎神経を介したHIF1α,EPOの発現亢進と心筋細胞内シグナルのリン酸化亢進が重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究でremote ischemic preconditioningにおける虚血耐性獲得には、腎神経を介したHIF1α,EPOの発現亢進が重要であり、EPOにより誘導される心臓での心筋保護シグナルのリン酸化亢進が重要である可能性が証明された。研究開始時点での目的はほぼ達成できており、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
remote ischemic preconditioningにおける虚血耐性獲得には、腎神経を介したHIF1α,EPOの発現亢進が重要であることは我々の研究で証明された。今後は一過性下肢虚血後血清中で上昇したEPOが本当に心筋虚血耐性獲得に重要な役割を担っているのか検証が必要である。我々はマウスEPO抗体を用いて今後検証を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費はマウスEPO抗体やマウス購入費などの研究資材費用と研究発表費用に使用予定である。
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