2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝要因と環境要因の複合作用による口唇裂研究モデルの新規構築
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23792098
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中富 満城 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10571771)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口唇裂 / 口蓋裂 / Msx1 / 先天異常 / 顎顔面形成 |
Research Abstract |
口唇口蓋裂は口腔顎顔面領域で最も頻度の高い先天異常であり、その成因として遺伝要因と環境要因の複合による多因子閾値モデルが提唱されてきているが、詳細な発症メカニズムは未解明のままである。従来の研究モデルは遺伝要因と環境要因をそれぞれ別個に解析したものが主であったので、本研究において我々は両者を組み合わせた新しい研究モデルの構築を試みた。具体的には遺伝要因としてヒトにおける口唇口蓋裂のリスク遺伝子である事が知られているMsx1遺伝子の変異マウスを用い、環境要因としてヒトで催奇形性が知られている抗てんかん治療薬のフェニトインを用いた。フェニトインは母獣に低酸素状態を惹起する事が知られている。Msx1遺伝子変異マウスの妊娠母獣にフェニトインを投与し、野生型と変異型の胎仔間における顎顔面形成の異常の有無を比較した。その結果、変異型胎仔は野生型胎仔よりも有意に高い口唇口蓋裂の発症率を示し、遺伝的リスクを有する個体が環境的リスクに曝露されると先天異常の確率が飛躍的に高まる事が明らかとなった。またBl6系統の変異マウスはCD1系統の変異マウスよりもフェニトインに対する感受性が高い事も明らかとなった。ヒトにおいても口唇口蓋裂の発症率は人種間で大きく異なる事が知られており、我々の研究結果により系統間の遺伝的バックグラウンドの差異が環境要因に対する感受性の高低に影響を与える可能性が示唆された。分子レベルにおける解析は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口唇裂を解析する為にはMsx1ヘテロ変異マウスの雌雄を交配してMsx1ホモ変異マウスの胎仔を得る必要がある。その際に妊娠母獣を屠殺する為、充分な数のヘテロ変異マウスの雌が必要となるが、その育成には時間が掛かる為に現在の所は数が不足している。しかし現在多くのヘテロ変異マウスを育成中であり、この問題は解決可能である。また今回実験に用いているBl6系統の変異マウスはフェニトインに感受性が高く、高濃度での投与が困難であるが、濃度を下げる事で対応している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り妊娠母獣にフェニトインを投与した後の胎仔の顎顔面原基を分離摘出し、マイクロアレイ解析によりMsx1遺伝子の下流標的遺伝子について探索する予定である。その結果Msx1遺伝子の制御下にある低酸素応答遺伝子群が明らかになると期待される。更に酸素濃度調節機能付きマウス飼育装置を購入し、フェニトイン投与後に高い酸素濃度の環境で飼育する事により胎仔の口唇口蓋裂を救済できるか試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は当初の計画よりもやや進行が遅れている為に研究費の若干の余剰が生じたが、次年度に繰り下げて使用する予定である。具体的にはマイクロアレイ解析や試薬等の消耗品の購入、マウス飼育の為の維持管理費、学会発表の為の旅費、論文投稿の際の英文校正費や投稿費等に使用する。
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