2011 Fiscal Year Research-status Report
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23792100
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
葛城 美徳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60401759)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Bcl11b / 歯胚形成 / ENU変異体 |
Research Abstract |
野生型マウスの臼歯歯胚(E13.5, E14.5, E15.5, E18.5)におけるBcl11bの発現を免疫染色により確認した。Bcl11bは外胚葉性の細胞に発現しており、E13.5では口腔上皮や歯胚プラコードに、それ以降は外エナメル上皮側でより強い発現が認められた。また興味深いことにBcl11bの発現の強弱に相反してβ-cateninの発現が認められた。我々のこれまでの腸管や胸腺におけるBcl11bの研究からBcl11bがβ-cateninを抑制的に制御することがわかっており、歯胚形成過程でも同様の機構が働いているようである。次にS826G/KO や+/+、KO/+マウス胚を作製すべく、S826G/+マウスと KO/+マウスの人工授精-胚移植を行ったが、2011年6月に本研究に関連する論文(Katsuragi et al., Developmentに投稿, Ref.1)がrejectとなったため、これらのマウスの大半を3週齢切歯のサンプル用に転用した(この論文は近く再投稿)。現在再度準備中であるが、E14.5においてはS826G/KOの臼歯歯胚領域が野生型と比較して拡大していた。またこの論文に関連して、S826G/KOではエナメル芽細胞系譜のβ-catenin発現亢進がみられたが、一方でp27やp57の発現増加を伴い、細胞増殖能が顕著に低下していた。・Ref.1 Bcl11b transcription factor controls the maintenance of ameloblast-lineage cells in mouse adult maxillary incisors. Katsuragi Y, Anraku J, et al.(再投稿準備中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年6月に投稿した論文(研究実績の概要の項を参照)のrejectに伴い、追加実験やブラッシュアップがあり、また腸管におけるBcl11bの機能に関する論文もGenes & Developmentに投稿したがrejectとなりこちらも追加実験中である。主にこれらが原因となり時間的にも実験材料となるマウスの確保にも支障をきたし、当初予定としていたS826G/KOマウスやfloxマウス、TOPGALマウスの解析がおくれてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きS826G/KOマウスやコンディショナルKOマウス、TOPGALマウスの解析を行う。S826G/KOに関してはE11.5、E13.5、E14.5、E15.5、E18.5、計5ステージでサンプリングを行ない、過剰歯形成過程を細かく確認する。その他に関しては複数の遺伝子やアリルの組み合わせとなるためこちらの望むマウスを十分得るのが困難となるが、すでにS826G/KOでは歯胚領域の拡大傾向がE14.5の時期に確認できたことから、この時期にしぼってサンプリングを行う。すでにBcl11bの発現とβ-cateninの発現が相反することが明らかになったので、TOPGALマウスの系でBcl11b機能低下によるWnt/β-catenin経路の亢進が期待される。ただし、成体マウス切歯の系ではBcl11b機能低下が幹細胞(LRC)やTA細胞の減少を引き起こしており、Wnt/β-catenin経路活性化によって期待される増殖促進効果と一致していない。Bcl11b機能低下によるβ-catenin亢進はTOPGALに反映されるような転写活性化や細胞増殖への影響よりもcadherin等を介した細胞接着への影響の方が大きいことも考えられるため、新たにcadherin(E-cadherin)の発現も確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大量のマウス作製が必要となるが、学内動物施設では不十分なため外注でIVFを行う。また必要に応じて抗体やキット類、チューブ類などの消耗品購入に充てる。論文投稿時のネイティブチェックや学会発表のための出張費にも使用する。
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