2012 Fiscal Year Research-status Report
LDL受容体ファミリーを介したF-spondinの硬組織破壊調節機構の解明
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23792103
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡 広子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 特任助教 (60452588)
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Keywords | 硬組織破壊 / 受容体 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き破骨細胞前駆細胞の遊走・分化に及ぼすF-spondinの影響とその経路(Lrp8,megalin/Lrp2,Lrp4,VLDL受容体,その他)を明らかにする目的で、マウス細胞を用いて、以下の検討を行った。(1)破骨細胞前駆細胞の遊走・分化に及ぼすF-spondinの影響とその経路:RAW264細胞を用いた検討でF-spondinによるRANKLのTRAP陽性細胞の誘導抑制、破骨細胞分化マーカーのmRNA発現抑制の一部がLRP8を介しているが明らかとなった。(2) F-spondin過剰発現細胞分泌物質による破骨細胞誘導への影響:F-spondin過剰発現Tgマウスが確立された。Chamberを用いた培養系で検討した結果、過剰発現系細胞から分泌される物質が破骨細胞誘導を抑制する作用を持つことが示唆された。また、破骨細胞前駆細胞上のLRP8がF-spondinを過剰に発現する細胞から分泌される物質の破骨細胞誘導抑制の一部に関与することが示唆された。(3)F-spondin過剰発現破骨細胞および骨芽細胞におけるLDL受容体ファミリーの発現: F-spondin過剰発現マウスのカルバリア細胞でLDL受容体ファミリーのmRNA発現は野生型に比べて増強していた。一方で前駆細胞からRANKLの分化誘導により得た破骨細胞ではLrp8,Lrp2,Lrp5,Lrp6, VLDLRの発現は低下していた。さらに以下(4)、(5)、(6)を検討中である。(4) RAW264細胞にRANKLおよびF-spondinを用いた培養系での遺伝子変化(5)F-spondin過剰発現Tgマウスを用いたLPSによる歯周組織炎症モデル組織における歯槽骨吸収や破骨細胞の出現(6)Tgマウスおよび野生型マウスより得たカルバリア細胞での歯周病原菌由来LPSを投与後のOPGおよびRANKLの発現
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、LDL受容体ファミリーに属する各受容体に注目し,F-spondinとLDL受容体を介した硬組織破壊制御の機構を解明することである。本年度に行う予定であった計画は以下のとおりである。 (1)破骨細胞前駆細胞の遊走・分化に及ぼすF-spondinの影響とその経路(Lrp8,megalin/Lrp2,Lrp4,VLDL受容体,その他)について、特に発現変化の大きい受容体の影響の検討(2)Tgマウスの手続きが終了次第、プライマリー細胞におけるF-spondinの発現度を確認し、F-spondin過剰発現細胞におけるLDL受容体ファミリー発現と破骨細胞分化への影響の検討(3)Tgマウスのカルバリア細胞に安定的なF-spondinの過剰発現が確認できた場合は、同細胞を使用して平成25年度に実施予定のF-spondinの骨芽細胞におけるRANKL、OPGの発現変化や骨芽細胞-前破骨細胞共培養系を用いての検討の早期実施(4)動物モデルの組織でのLDL受容体発現の検討 このうち、(1)、(2)は計画通り実施され、(1)については前年度の遊走能と同じく、破骨細胞分化にもLRP8の関与を示唆する結果を得ている。また、より上流のシグナルを同定するためマイクロアレイによる検討も行っている最中である。(2)に関しては学内手続きが完了し、プライマリーのカルバリア細胞もF-spondinの過剰発現が確認できたことから、培養系において同細胞の分泌物の破骨細胞誘導や(3)に示したLPSと同細胞を用いたRANKLおよびOPGの発現変化を検討中である。一方で、マウス骨芽細胞株に対して遺伝子導入によりF-spondinの過剰発現株の樹立も試みたが、安定した細胞株を得ることができていない。(4)については、組織自体での受容体発現変化に先立ち、炎症モデルにおけるF-spondin自体の影響を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の研究実施計画はおおむね順調に進んでいる。培養系ではF-spondinの過剰発現マウス細胞株を樹立できていないため、Tgマウスより分離したプライマリーの骨芽細胞系細胞や破骨細胞系細胞を用いて、F-spondinの発現によるRANKLおよびOPGの発現変化を明らかにするための検討、共培養による硬組織破壊に及ぼすF-spondin/受容体経路を検討する。特に、これまでの検討から前破骨細胞の遊走や分化に関与していることが示唆されるLRP8等のを中心に検討する。また、Tgマウスの炎症モデルの結果を得たのち、Tgマウスを樹立した研究グループとも協力してF-spondin自体の炎症モデルの硬組織破壊に対する影響も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通りの物品費、旅費、その他の内訳で使用予定である。成果発表予定であった海外学会の日程が最終年度内(25年度)にないため、国内学会での発表と変更になる可能性が高い。
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