2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792109
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 啓子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70410579)
|
Keywords | 細菌学 / 歯周病 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
歯周病は種々の細菌による混合感染であり、これらの菌が産生する病原因子により、歯周組織が破壊される疾患である.これまで、歯周病細菌が分泌する病原因子が宿主に与える影響については、宿主側を視点として、数多くの報告がある.一方、病原因子が分泌される仕組みについては殆ど分かっていなかった.そこで、遺伝学的手法を用いて病原因子分泌に必須な分子を探索したところ、病原因子は10分子が関わる分泌装置 (PorSS) によって分泌されることが分かった。この分泌装置はバクテロイデーテス・フィラムに属する種々の歯周病細菌に保存され、これまで知られる多くの病原因子の分泌および成熟化に関わる. 目的)歯周病細菌のPorSSがどのように分泌タンパク質を認識、そして分泌しているのかを理解するため、まずは、どのようなタンパク質がPorSSによって分泌されるのか、また分泌タンパク質はどのような共通性をもつのか調べる. 方法)PorSSが機能する菌と、しない菌で、PorSS分泌タンパク質を比較する.各々の菌から培養上清を回収し、上清タンパク質をTCA沈殿し、2次元電気泳動に展開した.さらに、得られたスポットについて、質量分析をおこなってタンパク質同定をおこなった. 結果)2次元電気泳動の結果より、PorSSが機能する菌からは、PorSSが機能しない菌と比較して、13スポット多くのスポットが得られた.歯周病菌の病原因子として知られるプロテアーゼの他、菌体表層タンパク質が含まれていた.これらを並べて比較すると、PorSSによって分泌されるタンパク質は、C末端配列に共通する約80アミノ酸配列をコードしていることが分かった. 考察)分泌タンパク質の約80アミノ酸のC末端ドメインが、PorSSの認識、識別に関わっていることが示唆される.
|