2012 Fiscal Year Annual Research Report
病原性リポ蛋白質制御酵素を標的とした新たな齲蝕細菌感染症治療・予防法の開発
Project/Area Number |
23792113
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
有本 隆文 昭和大学, 歯学部, 講師 (60407393)
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Keywords | Streptococcus mutans / Streptococcus gordonii / lipoprotein / 浸透圧抵抗性 / 貪食抵抗性 |
Research Abstract |
今回の申請研究において申請者は口腔レンサ球菌(Streptococcus mutans, Streptococcus gordonii)が有するいくつかの新規病原性菌体表層リポタンパク質を見出し、これらのタンパク質とそれを細胞膜上に固定する酵素prolipoprotein diacylglyceryl transferase(LGT)ならびにシグナルペプチド切断酵素(LspA)の関係を調べ、LgtおよびLspAの不活化がこれの持つ病原性の喪失・減弱に強く関与することを明らかにした。 S. mutansのリポタンパク質PrtMは細菌の浸透圧制御に強く関与しており、このタンパク質を欠損した菌株は、野生株と比較して0.4 M NaCl存在下で著しい増殖阻害を示した。Lgt, LspA欠損株においても同様の現象が認められた。さらに、ショ糖存在下でのバイオフィルム系性能を評価したところ、PrtM欠損株では、0.2 M NaCl添加でバイオフィルム形成に影響を及ぼすことが明らかとなった。 一方、S. gordoniiにおいては、リポタンパク質PpiAを研究対象分子とし、PpiAの細胞表層局在性およびタンパク機能とLgtの関係を明らかにし、さらにPpiAの機能解析によってこのタンパク質がマクロファージの貪食抵抗性に関与することが明らかとなり、その作用機序として、マクロファージの貪食受容体発現阻害を遺伝子レベルで惹起していることを示唆した。これらの成果をMolecular Oral Microbiologyに報告した。 これらの結果は、口腔レンサ球菌が有する細菌表層リポタンパク質には多くの病原性を持つものが存在を強く示唆し、これらの解明をさらに進めることで、リポタンパク質制御酵素阻害による病原性喪失研究の重要性が明らかにできたと考える。
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