2011 Fiscal Year Research-status Report
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23792114
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森崎 弘史 昭和大学, 歯学部, 講師 (30317581)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Streptococcus mitis / Streptococcus pneumoniae / choline binding protein |
Research Abstract |
本研究は、Streptococcus pneumoniae と、その近縁種であるStreptococcus mitis を対象とし、形質転換の際に働く細胞壁溶解酵素(LytA, LytC, CbpD)とその機能発現への関与が示唆されているcholine binding protein E(CbpE)の制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度はまず、CbpEが他のコリン結合タンパク質(Cbp)の局在性を制御している、という仮説のもとに以下のような実験を行った。S. mitis のCbpの1つであるコリン結合βガラクトシダーゼ(β-gal)の局在性に対するCbpEの関与を調べるために、野生株とCbpE欠損株の培養上清中のβ-gal活性をo-nitrophenyl-β-D-galactopyranoside(ONPG)を基質として測定した。その結果、CbpE欠損株のβ-gal活性は野生株の6%程度まで低下していた。さらにS. mitisのコリン結合b-gal欠損株を作製し同様に測定したところβ-gal活性はほぼ完全に消失した。これらの結果から、今回検出したS. mitis培養上清中のβ-gal活性はコリン結合β-galに由来すること、またその活性の発現にはCbpEの機能が重要であることが明らかとなった。次に、実際にS. mitisのコリン結合β-galの局在が変化しているかをWestern blot法で調べることとした。まず、抗体作製の抗原となるコリン結合β-gal組換えタンパク質の大腸菌での発現・精製を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
S. mitisのコリン結合β-gal遺伝子は7233 bp、その遺伝子産物の推定分子量は約270 kDaという比較的大きなタンパク質である。そのせいか、発現ベクターの構築に時間を要し、さらに組換えタンパク質の発現・精製が思うように進まなかった。また、研究代表者が所属する講座の担当教授が不在となったことにより、学生教育などの研究以外の大学業務が当初の予定よりも大幅に増加したため、予定していた実験項目の一部に着手できなかった。 以上の理由により研究の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗コリン結合β-gal抗体作製のための抗原は組換えタンパク質ではなく、合成ペプチドを使用することとする。また、抗体作製に時間がかかるため、今後解析予定の細胞壁溶解酵素CbpDのペプチド抗体も同時に発注することとする。 研究以外の大学業務については、本年度以上に増加することはなく、本年度に作成した資料などを生かすことで研究の遂行に支障のない程度の業務内容で対処可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定外の大学業務の増加によって、当初の予定通りに着手することができなかった実験項目があったため、次年度使用予定の研究費が生じた。次年度以降に請求する研究費と合わせて以下のように使用する予定である。 本年度と同様に細菌培養を行うためのプラスチックシャーレ、培地、寒天や、遺伝子解析関連の消耗品(オリゴヌクレオチド、各種酵素類、プラスミド抽出キットなど)の購入費用として使用する。遅れている抗体作製に関しては、抗原ペプチドの合成を含めてすべて外注として効率よく進めることを計画しており、次年度使用予定分の研究費の相当程度はその費用に充てる予定である。
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