2012 Fiscal Year Annual Research Report
象牙芽細胞における刺激受容機構と象牙質形成の機能連関
Project/Area Number |
23792132
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
津村 麻記 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (90582346)
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Keywords | 象牙芽細胞 / TRPチャネル |
Research Abstract |
本研究は、象牙芽細胞における象牙質への外的刺激と関連する象牙質形成過程ならびに歯髄・象牙質感覚の受容機構における象牙芽細胞の役割を明らかにすることを目的とし、象牙芽細胞におけるTRPチャネル発現と象牙質形成・感覚受容との機能連関の検索を行った。 [Ca2+]i測定と免疫染色の結果から象牙芽細胞にTRPV1チャネルが発現していることが示された。[Ca2+]i測定とパッチクランプ記録を用いて、TRPV1チャネルアゴニストの結合部位を検索した。その結果、カプサイシンとアナンダマイドの結合部位は細胞内、レシニフェラトキシンの結合部位は細胞外に存在することが示唆された。TRPV1チャネル活性化で細胞内に流入したCa2+の排出経路についてはTRPV1チャネルと機能的にカップリングしているNa+-Ca2+交換体の寄与が示唆された。また、象牙芽細胞にはCB1受容体が発現しており、CB1受容体の活性化はadenylyl cyclaseを介した細胞内cAMPシグナル経路によりTRPV1チャネル誘発性のCa2+流入を引き起こすことが示唆された。 [Ca2+]i測定と免疫染色の結果から象牙芽細胞にTRPM8チャネル、TRPA1チャネルが発現していることが示された。加えて、低浸透圧で誘発された膜伸展刺激と冷刺激の受容について[Ca2+]i測定を用い検討した結果、TRPM8チャネルは冷刺激の受容に関与しているが、TRPA1チャネルは冷刺激だけでなく機械刺激の受容にも関与することが示唆された。 従って、本研究の結果から、象牙芽細胞におけるNa+-Ca2+交換体は象牙質への外的刺激に伴う象牙質石灰化前線への直接的なCa2+輸送経路として機能していることが示唆された。加えて、象牙芽細胞は感覚伝達などの細胞機能を駆動する露出象牙質への外的刺激を受容する感覚受容細胞として役割を果たしている可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)