2011 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズムが制御する舌癌微小環境に基づいた抗癌剤治療戦略の構築
Project/Area Number |
23792139
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60400131)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 概日リズム / 抗癌剤 / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
正常歯肉線維芽細胞や間葉系幹細胞で時計遺伝子Clock,Bmal1/2,Dec1/2,Per1/2/3が概日リズムを形成した。また、時計遺伝子以外にも、Snail,Smad3,VEGFなどがリズム形成を示し、これらの細胞で損傷時の組織修復が、概日リズム制御下で行われている可能性を指摘した。また、肝細胞癌細胞株HepG2で、Dec2が概日リズムを形成し、正常細胞だけでなく、腫瘍細胞でも時計遺伝子がリズム形成していることを示した。口腔癌細胞株HSC-3で、抗癌剤の一つであるシスプラチンで処理すると、アポトーシス誘導に伴って、Dec2発現が上昇し、シスプラチンによるアポトーシス誘導を、ミトコンドリアに存在するBimを介して抑制することを見出した。この結果はDec2が、抗アポトーシス効果をもつことと考えられる。膵臓癌細胞株Panc-1やBxPC-3では、TGF-beta処理により、癌細胞の浸潤能や遊走能が上昇し、Epithelial-mesenchymal transition (EMT)を引き起こし、悪性度が増すことが報告されているが、癌における時計遺伝子との関連は明らかでない。本研究により、TGF-beta処理で、Dec1/2の発現が上昇し、EMT関連因子を制御して、癌細胞の浸潤能や遊走能を制御することを示した。これらの知見により、時計遺伝子Dec1/2は、概日リズムのもとで、癌細胞のアポトーシス、浸潤能や遊走能を制御することが示され、今後の癌の発育進展に新たな知見をもたらした。
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Research Products
(9 results)