2011 Fiscal Year Research-status Report
ホロカルボキシラーゼ合成酵素を介したビオチンによる炎症制御機構の解明
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23792140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30400261)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ビタミン / ビオチン / 炎症制御 |
Research Abstract |
本年度はホロカルボキシラーゼ(HCS)遺伝子ノックダウンマクロファージの作製とその性状解析を行なった。研究計画にある通り、HCS-KDベクターはUniversity of Nebraska-LincolnのJanos Zempleni教授より譲渡された。市販大腸菌コンピテント細胞をHCS-KDベクターを用いて形質転換し充分量のベクターを調整した後、PCR法およびDNAシークエンス解析によりベクターの性状を確認した。本ベクターはHCS遺伝子ノックダウンカセットに加え、ネオマイシン耐性遺伝子およびガンシクロビル感受性であるHerpes simplex virus-1由来thymidine kinase遺伝子からなるHCSターゲティングカセットを含む。次いで、マウスマクロファージ細胞株であるJ774-1細胞を用いてHCS-KDマクロファージを作製するため、HCS-KDベクターを制限酵素Cla Iで消化し、フェノール・クロロホルム法によりHCSターゲティングカセットを精製した。このターゲティングカセットをエレクトロポレーション法によりJ774-1細胞に導入した。ターゲティングカセット導入後、細胞を10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地で1週間培養した後、ネオマイシン系抗生物質であるG418およびガンシクロビルによるセレクションを行い形質転換細胞を得た。これにより、本研究の主要な目的であるHCSを介した炎症制御機構の解明に必要な細胞を樹立することができた。現在、この形質転換細胞についてHCS遺伝子の相同組換えおよびHCS mRNA発現レベルをPCR法により解析すると共に、限界希釈法によるHCS-KDマクロファージのクローニング、HCS遺伝子ノックダウンに対する培地中ビオチン濃度の影響、炎症反応に対するHCS遺伝子ノックダウンの影響などについて引き続き解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は当初の研究計画よりも若干の遅れが生じた。その大きな理由は2011年3月の東日本大震災による研究室および研究設備の損傷、並びに震災復興関連業務による研究活動の停滞である。また、研究面においては、マクロファージの形質転換に多くの時間を要したことも研究計画の遅れを生じさせる原因となった。形質転換で広く用いられる線維芽細胞等に比較してマクロファージは形質転換効率が低く、最終的な形質転換細胞を得るために実験プロトコールの調整が必要となり、当初の計画よりも遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画よりも遅れが生じていることから、当初研究計画にあったエフォートを30%から35%にあげ、精力的かつ効率的に研究を推進する。さらに、所属研究室の大学院生を研究協力者として加え研究体制の充実を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費(直接経費)は1,500,000円を請求している。研究計画書およびこれまでの研究実績から、消耗品費(試薬類、プラスチック実験器具類、マウスケラチノサイト調整に必要となるマウスの購入、維持費用)として1,100,000円の使用を計画している。また、国内外の学術集会での研究発表に関わる費用として400,000円を予定している。
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Research Products
(7 results)