2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌治療における磁性ナノ粒子(Fe3O4)の応用
Project/Area Number |
23792144
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
李 康広 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (70587526)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / Geldanamycin誘導体 / 放射線治療 / 口腔扁平上皮癌細胞 / 活性酸素種 / ミトコンドリア / リソソーム / 鉄 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌における化学・放射線療法の治療効果の更なる向上は重要な課題である。これまで我々は、Heat shock protein 90 (Hsp90)阻害剤であるGeldanamycin誘導体の17-AAGがγ線抵抗性株化口腔扁平上皮癌(OSC)細抱のγ線に対する感受性を増強させることについて報告した。しかしながら、17-AAG+γ線照射(30Gy)はγ線抵抗性OSC細胞を完全に死滅させることができなかったことから、17-AAG+γ線照射の更なる応用が必要と考えられた。そこで、17-AAGを表面処理した磁性ナノ粒子(Fe_3O_4)をγ線抵抗性OSC細胞に作用させることによりγ線に対する感受性の更なる増強を図ることが出来るか否かについて検討し、以下の結果を得た。 1)γ線抵抗性OSC細胞(OSC-4,OSC-5)のγ線に対する感受性に及ぼす17-AAG吸着磁性ナノ粒子の影響について細胞死で検討したところ、17-AAG吸着磁性ナノ粒子処理は17-AAG処理よりもOSC細胞のγ線に対する感受性を増強していた。 2)17-AAG吸着磁性ナノ粒子で処理したOSC細胞株(OSC-4,OSC-5)にγ線照射すると、17-AAG処理した後γ線照射したものに比べ細胞内における活性酸素種の産生がより促進された。 3)17-AAG吸着磁性ナノ粒子を処理したOSC細胞株(OSC-4,OSC-5)にγ線照射すると過剰な活性酸素種が産生され、同時にリソソーム膜の透過性が亢進した。 4)リソソーム膜の透過性の亢進に引き続いてミトコンドリア膜およびその膜周辺のChelatable ironの増加が観察されるとともにミトコンドリアの膜電位が低下し、細胞死が認められた。 以上の結果より、17-AAG吸着磁性ナノ粒子を応用した放射線治療はγ抵抗性OSC細胞株に対して有効な治療法となり得ることが示唆された。
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