2012 Fiscal Year Annual Research Report
MRIおよび超音波診断を用いたIgG4関連疾患唾液腺の診断・治療効果判定基準
Project/Area Number |
23792147
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 幸則 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30295084)
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Keywords | IgG4関連疾患 / MRI / 超音波 / 画像診断 |
Research Abstract |
これまで、ミクリッツ病はシェーグレン症候群の一亜系と考えられてきた。しかしながら現在では血中のIgG4の上昇と組織中へのIgG4陽性形質細胞浸潤を伴う全身疾患(IgG4関連疾患)の部分症であると考えられている。IgG4関連疾患にはステロイドが奏功することが知られているが、治療途中にしばしば再燃することが報告されており、現在の病態を正確に把握することは重要なポイントである。今回我々は、IgG4関連ミクリッツ病の画像診断、特にMRIや超音波画像検査の有用性を検証し、その特徴を明らかにするとともに、ステロイドによる治療効果の判定などへの応用についても併せて検討を行った。 当院においてIgG4関連ミクリッツ病と診断された12名の患者に対し、涙腺および唾液腺のMRIならびに超音波診断を実施した。また、ステロイド治療経過中に再度同検査を施行し、画像所見と血清IgG4値の推移を比較した。本症例群では、涙腺、唾液腺のうち、最も罹患率の高い組織は顎下腺で、次いで涙腺、耳下腺、舌下腺の順であった。超音波診断ではそれら組織での変化をMRIに比べ、より鋭敏に捉えることができ、大きく3つのパターン( ①打抜き状②隔壁状③石けん泡状)に分類可能であった。また、ステロイド治療による血清IgG4値の低下に伴って、腺組織の正常な内部構造への回復過程を明瞭に捉えることができた。ただし、顎下腺において高率に認められた石けん泡状のパターンを呈した症例のほとんどは、腫大は減少するものの、十分な内部構造の回復を確認することができなかった。また、回復を認めた症例においても、依然として血清IgG4値が境界値を越えている症例が多数見られ、その減少にはかなりの期間を要することが判明した。 以上より、超音波画像検査法は簡便、安価で、非侵襲的画像検査法として、IgG4関連ミクリッツ病の診断およびフォローアップに有用と考えられた。
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