2012 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系疾患に影響を及ぼす歯周病原性細菌のクオラムセンシング機構解析
Project/Area Number |
23792149
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
沖永 敏則 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60582773)
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Keywords | 歯周病と全身疾患 / 歯周病原性細菌 / 炎症 / クオラムセンシング |
Research Abstract |
歯周病原性細菌が心筋梗塞の病変部位から検出され、その発症に深く関与していると報告されていることから、歯周病原性細菌による心筋梗塞の発症メカニズムという視点に立ち、歯周病原性細菌による粥状斑(アテローム病変)形成のメカニズムについて、分子生物学的手法を用いて解明した。 まず、最終年度は、細胞付着因子欠損歯周病原性細菌株の作製および当該因子の粥状斑形成に関わる役割の解析を実施した。平成23年度、血管内皮細胞に対する付着因子であるpilliを同定したので、当該因子を欠損した細菌株を作製後、粥状斑の形成量を野生株と欠損株を比較し、当該因子の役割を解析した。この研究成果については、現在論文投稿中である。 また、微小流路環流細胞培養系を用いたSOCS1/SOCS3強発現マクロファージのマイクロピラーへの付着量の評価を行った。微小流路環流細胞培養系を用いて再現したin vitroでの粥状斑形成モデルも用いて、歯周病原性細菌のLPSや菌体で刺激を行った。ベクターコントロール株とSOCS1およびSOCS3強発現株における遺伝子発現を比較することで、SOCS分子の分子生物学的役割を解析した。平成23年度の研究実績で、サイトカインシグナル抑制因子(SOCS)の歯周病原性感染マクロファージに及ぼす影響が示唆された。そこで、今年度は歯周病原性細菌感染におけるSOCSの役割についても詳細な検証を行った。なお、この研究については英語論文にて投稿し掲載されている。 以上、平成23年度から平成24年度にわたり、心血管系疾患に影響を及ぼす歯周病原性細菌のクオラムセンシング機能解析を行った。歯周病原性細菌感染を微小流路還流細胞培養系に応用することで、宿主側および微生物側の粥状斑形成に関わる因子について詳細な解析が出来た。今後、さらに分子生物学的および遺伝工学的な手法を用いて詳細な解析を加えていく予定である。
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Research Products
(7 results)