2012 Fiscal Year Research-status Report
人工バイオ微小環境を利用した癌細胞転移能の動的評価系の開発
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23792151
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
國分 克寿 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90535808)
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Keywords | EpCAM / ファージディスプレイ法 / CTC |
Research Abstract |
上皮性細胞接着分子(EpCAM)は細胞表面に局在する糖タンパク質で、循環癌細胞(CTC)のマーカータンパク質として利用されており、最近の研究では、EpCAM 抗体を用いたCTC分離デバイスの開発が報告されている。本研究では、抗体をマーカータンパク質に結合する人工ペプチドに置き換えることで、捕捉したCTCを生体内に近いインタクトな状態で回収し、その機能解析が可能になると考えた。 本年度は、昨年度ファージディスプレイを用いて取得したEpCAM結合ペプチドEp114の機能解析(in vitro)を行った。蛍光分析システムを用いてEpCAMタンパクとEp114の相互作用解析を行ったところ、Ep114とEpCAMタンパクとの結合が確認できた。細胞培養実験においても、EpCAM発現細胞に対し、蛍光ラベルを行ったEp114ペプチドが結合する像が観察された。また、Ep114のアラニンスキャンを行い、結合に有効なアミノ酸残基の同定も行った。しかしながら、Ep114ペプチドは12残基中システインを2つ含む配列をなし、扱いづらいことも分かってきた。そこで、より利用しやすいペプチドを取得するため、Ep114におけるシステイン以外のアミノ酸を保存した12残基のランダムペプチド提示ファージライブラリーを新たに作製した。作製したライブラリーとEpCAMタンパクを用いてバイオパニングを行い、得られたファージをクローン化してDNA配列解析を行うことでランダム領域に提示されたアミノ酸配列を同定した。この新たにクローン化したファージをEp114と比較したところ、EpCAMタンパクへの結合能が弱く、EpCAM結合ペプチドとして利用することは困難であることが分かった。そこで今後は、Ep114に焦点を当て、デバイス上へのコート法の検討やセンサーとしての評価を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度取得したEp114が扱いづらく、それを改善するため新たにファージライブラリーを作製し、結合ペプチドを取得するという行程が入ってしまい、遅れが生じてしまった。また新たにファージライブラリーを作製するも、期待通りの結合ペプチドの取得が出来なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したEpCAM結合ペプチドのEp114のより詳細な機能解析をin vitro、in vivoの両方を通じて行っていく。また、Ep114を用いたCTC捕捉システムの確立のため、デバイス上へのコート法の検討や、センサーとしての評価も行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬や器具、その他の消耗品が使用の中心となる。また、ペプチド合成に関しては、外部委託を基本とするが、DNA合成と異なり、比 較的高価であることを申し述べておきたい。
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