2011 Fiscal Year Research-status Report
術中の偶発症防止向けた画像診断ガイドライン作成-翼突上顎縫合部の骨形態分類から
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23792155
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
浅海 利恵子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (30548243)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 顎変形症手術 / 歯科用コーンビームCT / 顎骨 / 画像解析 |
Research Abstract |
歯科用コーンビームCTにより、乾燥頭蓋骨および解剖検体の撮影を、フランクフルト平面を基準に行った。得られたCBCT画像により、翼突上顎縫合部周囲の形態計測を、画像処理ソフトを用いて行った。高解像度(ボクセルサイズ:0.155mm)の画像を用いることにより、翼突上顎縫合部の骨の形態やその周囲に走行する大口蓋管および小口蓋管を含めて観察することができた。また乾燥頭蓋骨の画像から上顎大臼歯の有無による翼突上顎縫合部周囲の相違を観察、検討した。解剖献体を解剖し、翼突上顎縫合部の骨の分離の状態や大口蓋管に分布する脈管を肉眼的に確認した。予備的な有限要素法による応力解析を、簡易的な2次元モデルを作成し行った。 Le FortI型骨切り術は、1962年にObwegeserにより確立され、現在までに多くの変法も考案されている。また、術前にCTなどを用いて3次元的に画像を確認しているにもかかわらず偶発症は発生している。安全で確実な治療結果を得るためには、患者の画像から患者個々で異なる解剖学的形態を診断し、患者個人に合った手術法を適応させなければならない。そこで本研究の結果から、翼突上顎縫合部の術前画像診断法のガイドラインを作成することは重要であり、このガイドラインを臨床にフィードバックすることで、Le FortI型骨切り術時の偶発症を回避することが可能となる。加えて他の外科手術の画像診断にも本研究の結果が応用できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度は、項目としては、1)乾燥頭蓋骨の歯科用コーンビームCT(CBCT)画像から翼突上顎縫合部骨形態を分類する、2)解剖献体のCBCT画像を参考に観察の基準とする高さを決定後、基準の高さで薄切し顕微鏡下で各断面を観察し、翼突上顎縫合部に走行する脈管・神経の局在を明らかにする、3)解剖献体をブロック片にし、硬さ試験などの機械的試験を行い、CBCT画像の違いによる骨の機械的性状を明らかにする、4)翼突上顎縫合部の骨形態の分類ごとの応力分布を有限要素法により縫合部分離時に生じる応力分布の解析を行う予定であった。 実際には、歯科用コーンビームCTによる試料の撮影に関しては今まで行ってきた手順に従って順調に行うことができた。画像処理ソフトを用いて、得られたCBCT画像により、翼突上顎縫合部周囲の形態計測を行い、翼突上顎縫合部の骨の形態やその周囲に走行する大口蓋管および小口蓋管を含めて観察した。CBCT画像による検討に関してはほぼ予定通りに進んでいる。解剖献体を解剖し、翼突縫合部の骨の分離の状態や大口蓋管に分布する神経・血管を肉眼的に確認したが、これらの神経・血管の細かな同定はできていない。また有限要素法解析ソフトおよび硬度計に関して当初借用予定していた研究室がなくなり、他の研究室で借用することになったため準備が遅れた。全体を通しての初年度の達成度は当初の予定よりも遅れ、達成度としては70%程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行えなかった骨の機械的性状を、硬度計を用いて調べる。また組織切片を作製し、翼突上顎縫合部の神経・血管の同定を行う。 歯科用コーンビームCTデータを用いて三次元画像ソフトで有限要素法解析用にモデルを作成し、有限要素法解析ソフトにて解析を行ったがうまくいかなかった。そこで作成したモデルを解析ソフトで解析しやすいデータにするために三次元画像ソフトのオプションを追加し解析を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
画像ソフトで作成したモデルが有限要素法解析に適したデータとする。そのため前年度からの繰越金を加算し、初年度に購入したソフトに追加オプションを購入する。この追加オプションが次年度の主な研究費を占める。解剖検体を解剖し、観察試料を作製するため解剖器具やダイヤモンドカッター等を購入する。また研究成果発表のための国際学会参加費用、研究成果発表のための論文投稿費用も研究費から充てる。
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