2012 Fiscal Year Annual Research Report
術中の偶発症防止向けた画像診断ガイドライン作成-翼突上顎縫合部の骨形態分類から
Project/Area Number |
23792155
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
浅海 利恵子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (30548243)
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Keywords | 歯科用コーンビームCT / 顎変形症手術 / 三次元画像 / 術前診断 |
Research Abstract |
顎変形症手術で上顎の補正のために多く行われているLe FortI型骨切り術では、翼突上顎縫合部離断の際、下行口蓋動脈の損傷が生命を脅かすような大量出血を生じる危険性を持つ。術前診断の際、現在では解剖学的形態を三次元的に把握することが容易なCT画像が用いられるようになってきている。しかしながら三次元的な画像からの診断にもかかわらず、偶発症がいまだに生じている。偶発症の回避には術前の適切な画像診断が重要となる。そこで本研究ではLe FortI型骨切り術に焦点を当て、歯科用コーンビームCT(CBCT)画像から、患者個々の解剖学的形態に適した離断を行うための画像診断指針を作成することを目的とした。試料は日本人乾燥頭蓋骨と解剖献体を用い、CBCT撮影を行い、得られた画像からフランクフルト平面および正中矢状面を基準として計測を行い、翼突上顎縫合部及び周囲に走行する大小口蓋管を観察した。また解剖献体の肉眼解剖から大小口蓋管に走行する神経・脈管を確認し、CBCT画像と比較した。翼突上顎縫合部を分離する際の応力分布を有限要素法解析により行った。結果、平均的に口蓋管は頭側から前内側に走行し、口蓋に存在する大口蓋孔に達していた。また大口蓋孔のすぐ後外側に小口蓋孔が平均2個存在していた。また大口蓋管から小口蓋管の分岐は個体差が大きく、走行する神経・脈管も様々であった。小口蓋管が明瞭に観察されたものでは管内に存在する神経・脈管が発達していた。大口蓋管と縫合部までの距離、縫合部の厚さや小口蓋管の数や位置などにより応力分布は様々であった。これらのことより、大口蓋管のみならず小口蓋管の存在を考慮に入れた診断が必要であり、日常臨床では、顎変形症の術前診断ではCT画像を用いることが多く、CBCT画像との解像度の違いを考慮した診断を行う必要があると考えられた。
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