2011 Fiscal Year Research-status Report
「オートファジー受容体」の口腔上皮細胞の感染防御機構における役割の解明
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23792158
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
猪俣 恵 朝日大学, 歯学部, 助教 (40553798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | オートファジー / ヒト上皮細胞 / 感染防御機構 / Toll様受容体 (TLR) |
Research Abstract |
オートファジーは腸管上皮細胞における侵入細菌の分解・排除機構や抗菌性因子・サイトカイン産生などの感染防御機構の制御に関与している。近年、オートファジーによる侵入細菌の分解機構には「オートファジー受容体」と呼ばれる分子群によるユビキチン化を受けた細菌の認識が必須であることが報告されてきたが、その詳細については未だ明らかにされていない。申請者は、オートファジーが腸管上皮細胞と同様に高頻度の細菌暴露を受ける口腔上皮細胞の感染防御機構にも何らかの重要な役割を果たしていると推測した。口腔上皮細胞を含むヒト上皮細胞は、感染微生物をToll様受容体 (TLR) 等を介して認識すると、下流のシグナル伝達を開始させケモカインやサイトカインを速やかに産生する。そこでまず、ヒト上皮細胞株であるHeLa細胞を用いてオートファジーのTLRを介した応答ならびにそのシグナル伝達経路における役割の解析した。その結果、TLR下流のシグナル伝達分子であるTRIFやTRAF6がTLR3リガンドであるpoly(I:C)の刺激に伴い、オートファジーによって選択的に分解されることを見出した。TRIFに結合するオートファジー受容体をスクリーニングしたところ、NDP52 (nuclear dot protein 52) のみが検出された。NDP52はTRIFやTRAF6を特異的に分解し、その結果TLRシグナルを抑制した。ゆえに、オートファジーはオートファジー受容体の機能に依存的にヒト上皮細胞のTLRを介した感染防御機構を制御していることが示唆された。オートファジーならびにオートファジー受容体がTLRシグナル伝達の制御に関与することは今まで報告されていないため、引き続き、詳細なメカニズムについて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、オートファジーのヒト上皮細胞の感染防御機構、特にTLRを介した感染防御機構における役割について検討し、その結果、オートファジーはオートファジー受容体の機能に依存的にヒト上皮細胞のTLRを介した感染防御機構を制御していることを示唆した。 来年度はこの現象のメカニズムを詳細に検討する必要があるとともに、口腔上皮細胞でも同様の現象が見られるのかを検討する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は、今年度の結果を踏まえ、今後さらなる研究成果を挙げるため、次年度も研究者との意見交換を活発に行い、指導を仰ぎながら、ハイレベルな研究展開と研究完遂に向け努力を行う。 また、本研究によって得られた研究成果は順次国内・国際学会や国際学術雑誌上で発表を行うとともに、Web上での成果報告やパンフレット作製等を通じ、あるいは成果の内容によっては新聞・マスメディアを通じて報告し、研究成果を広く社会や国民に還元できるよう、常に留意を怠らないよう心がける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度において行う実験・解析は、所属機関内の施設設備機器においてとり行うことが可能である。従って、今年度同様、支給研究費の大部分を消耗品費として使用する予定であり、このような研究費配分は研究計画の遂行に重点を置く本研究計画においては適正である考えられ、また本研究課題にとって必須の設定であると考えられる。 その内訳は培養細胞によるアッセイ系、その他の実験に伴う抗体類や生物活性測定キット類に対する支出がメインとなっている。 研究成果発表のための旅費ならびに論文発表のための費用は、研究成果によっては増幅があると考えている。
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Research Products
(5 results)