2013 Fiscal Year Annual Research Report
粉末による細菌の凝集システム構築とレーザー照射に起因した殺菌機序解明に関する研究
Project/Area Number |
23792169
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古本 達明 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (60432134)
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Keywords | レーザー / レーザー誘起衝撃応力 / 酸化チタン粉末 / 殺菌効果 / 一次元弾性応力波理論 / 赤外線輻射温度計 |
Research Abstract |
最終年度は,酸化チタンを含有させた菌浮遊液に対して条件を変えながらレーザー照射を行い,照射後の細菌を電子顕微鏡で観察して形態学的変化について調べた.また,レーザー照射後の菌浮遊液について,適宜稀釈してMS寒天培地に接種・培養した後,一定時間経過後に生じた集落数を測定した.その結果,生菌数はレーザーエネルギが大きくなるにつれて,レーザー照射時間が長くなるにつれて直線的に減少することが明らかとなった.また,レーザーエネルギーが大きくなるにつれて次第に細菌の細胞壁輪郭が不明瞭となり,菌体表面が融解し長軸方向に伸び,ないしは形態が崩壊し無定形物質に変化することがわかった. 一昨年までの研究成果から,菌浮遊液中にレーザー照射すると照射に起因して温度が上昇すること,および,誘起衝撃応力が発生することが明らかとなっている.また,細菌は菌浮遊液中の酸化チタン粉末に凝集しやすい性質を有していることがわかっている.したがって,酸化チタン懸濁液中で生じる殺菌効果の発現メカニズムは以下のように考えることができる. 懸濁液に対してレーザー照射すると,レーザーは懸濁液中の酸化チタン粉末に吸収され急激に温度上昇する.この温度上昇にともなって懸濁液全体の温度も上昇する.このとき,酸化チタン粉末の気化蒸散にともなって瞬間的な体積膨張が生じ,これによって懸濁液内部に誘起衝撃応力が発生する.酸化チタン粉末とレーザー照射の併用による殺菌効果の発現は,レーザー照射によって生じる熱的作用と誘起衝撃応力によって生じる物理的作用が相まり,酸化チタン粉末周辺に凝集した細菌に対して効果的に作用しながら殺菌に至ると考えられる.
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Research Products
(6 results)