2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792172
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永山 智崇 大阪大学, 歯学研究科, 招聘教員 (60456944)
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Keywords | バイオフィルム / 歯内療法 / 術中感染 / ラバーダム防湿 / 16s rRNA遺伝子解析法 |
Research Abstract |
歯内療法の成否における術中感染の影響およびラバーダム防湿による感染制御の効果を明らかにする目的で、以下の実験を行った。1.歯髄炎および根尖性歯周炎罹患歯を対象として、術前ならびに術後の根管内バイオフィルム構成細菌を16s rRNA遺伝子解析法を検索し、さらに各々をラバーダム防湿の有無に分類して解析した。2.さらに、患者の唾液や患歯歯頚部のデンタルバイオフィルム中、あるいは術者のグローブ表面の細菌を検索し、術中感染の経路を推定した。1.については、歯髄炎かつラバーダム防湿ありの群では、術前、術後とも全く細菌は検出されなかった。一方、歯髄炎かつラバーダム防湿なしの群の一部では、術中感染と思われる細菌の検出が認められた。さらに、術前と術後における検出細菌の構成を比較すると、時間の経過とともに嫌気性菌が増殖し優勢になってくる傾向が認められた。また、根尖性歯周炎かつラバーダム防湿ありの群では、術前に認められた細菌の検出が術後では認められなかった。一方、根尖性歯周炎かつラバーダム防湿なしの群の一部では、術後にも細菌の検出が認められた。2.については、総じて好気性菌や通性嫌気性菌が多く検出されたが、特に患歯歯頚部のデンタルバイオフィルムでは歯周ポケットによく認められる偏性嫌気性菌も認められた。 以上のことから、歯内療法を成功に導くためには、適切な根管拡大と緊密な根管充填を行うとともに術中感染の予防と制御に配慮することが極めて重要なポイントになり、またラバーダム防湿が無菌的処置に非常に有効な手段となることが明らかとなった。
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