2012 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質の潜在的石灰化能向上による初期齲蝕再生法
Project/Area Number |
23792182
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
荻野 玲奈(田中玲奈) 昭和大学, 歯学部, 助教 (80585779)
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Keywords | エナメル質 / 脱灰 / 石灰化 / マイクロCT / 漂白 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ヒト天然歯に二つの漂白方法とハロゲンランプ照射を行いエナメル質の耐酸性を評価することである.矯正治療のため便宜抜去した小臼歯エナメル質に,人工唾液を作用させながら10%過酸化尿素によるHome Bleachを行った(HB)と35%過酸化水素とハロゲンランプ照射を併用したIn-office Power Bleachを行った後人工唾液を作用させた(OB+AS),ハロゲンランプ照射のみを行った(LCU)のそれぞれのサンプルを2週間脱灰液に浸漬し,未処理のエナメル質(Control)と脱灰傾向を比較した.エナメル質から脱灰溶液へのカルシウム放出量をエネルギー分散型X線分光法で測定した.さらに,マイクロCTを用いて処理したエナメル質の脱灰によるミネラル密度とミネラル分布を測定した.結果,HBとLCUではOB+ASに比較して有意に脱灰を示した.一方,OB+ASは他のサンプルと比較して脱灰に対し抵抗性が向上し,少なくとも2週間継続した.エナメル質は表層から深層にかけてエナメルタンパクの増加に伴いミネラル密度が減少する.35%過酸化水素はすぐにエナメル質深層に浸透し貯留する.ハロゲン照射はエナメル質の深層で過酸化水素を活性化してラジカルを生じミネラル分配を起こすことにより,エナメル質の潜在的な石灰化が高まる.In-office Power Bleachを行った歯は人工唾液に触れることでより石灰化され,脱灰液に浸漬してもあまり脱灰されなかったと考えられる.OB+ASはLCUやHBに比べin vitroでの脱灰に有意に抵抗性を示すことが明らかになり,In-office Power Bleachは脱灰からエナメル質を保護する作用があると考えられる.一方,LCUではマイクロCTによるミネラル分布の解析から低密度層の増加(ミネラルの減少)が明らかになりエナメル質の脱灰を生じた.
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