2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯質接着耐久性を有する機能性モノマーおよび重合開始剤の分析と開発
Project/Area Number |
23792195
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
英 將生 鶴見大学, 歯学部, 助教 (80329226)
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Keywords | 生体材料 / ナノ材料 / 表面・界面物性 / 歯学 / 有機化学 |
Research Abstract |
歯科接着材料の歯質接着のメカニズムは,未だ不明な点が多い.なかでも,機能性モノマーの分子構造と歯質接着性能との関連性についてはほとんど明らかにされていない.また,光重合開始剤の違いが重合度ならびに歯質接着に及ぼす影響などについても明らかにされていない.本研究では,(1)機能性モノマーのアパタイトに対する化学的相互作用の分析.(2)光重合開始剤の違いが歯質接着システムの重合度に及ぼす影響を比較検討.(3)歯質接着界面をナノスケールで解析し,接着強さや長期安定性との関連性を検討.の項目に焦点を当て,機能性モノマーならびに光重合開始剤の違いが歯質接着に及ぼす影響を検討した. (1)では, HApに各種機能性モノマーを反応させ測定したX線回折の結果,および,機能性モノマーのみ異なる接着材とその接着材にHApを添加した試料で重合率を測定したFT-IRの結果,微小硬度測定の結果などから,機能性モノマーの種類によって,アパタイトに対する化学的相互作用は異なるという結果が得られた. (2)では,各種機能性モノマーに異なる光重合開始剤を添加した試料の重合率を,FT-IRで測定した結果などから,光重合開始剤の違いは重合率に影響を及ぼす結果が得られた. (3)では,機能性モノマーのみ異なる接着材を使用して行った歯質に対する接着試験の結果から,機能性モノマーの種類によって歯質接着強さは異なる結果が得られ,接着界面のTEM観察からは,機能性モノマーの種類によって接着界面の状態は僅かに異なる様子が観察された. 以上の結果から,機能性モノマーならびに光重合開始剤の違いは歯質接着に影響を及ぼすことがわかり,アパタイトとの化学的相互作用が強く,重合率にも影響を及ぼさない,また,良好な接着強さを発揮できる機能性モノマー,重合率に影響を及ぼしにくい重合開始剤などが,この研究から分析された.
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Research Products
(1 results)