2011 Fiscal Year Research-status Report
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23792201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 裕尚 東北大学, 大学病院, 医員 (80586511)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アクリルレジン |
Research Abstract |
本研究は、パラサイト(微生物)の付着制御・増殖抑制ならびに材料の抗劣化性という機能を付与した衛生的で、より生体安全性の高い新しい義歯床用材料の開発に資することを目的とし、義歯床用材料として頻用される歯科用アクリルレジンの表面及び内部に存在する特有のバイオフィルム微生物叢の定量的・定性的解析を行った。東北大学病院歯科に通院し、本研究の趣旨を説明し同意の得られた患者を対象とした。義歯新生等により、不要になった歯科用アクリルレジン製の義歯床を回収した。実際に口腔内で使用したアクリルレジン床を無菌的に割断後、申請者ら独自の試料採集方法により、アクリルレジン床の内部より試料を採取した。その結果、13床中5床(38.5%)から1-4種類の生存した細菌が検出された。これらの細菌密度は4.0 x 102-1.8 x 105個/mg(レジン削片)であった。これらの結果より、義歯内部に細菌が生存し、また義歯内部は複数種の細菌が生息可能な環境であることが示唆された。これまでの成果は、Takeuchi Y, Nakajo K, Sato T, Koyama S, Sasaki K, Takahashi N:Quantification and identification of bacteria in acrylic resin denture bases and dento-maxillary obturator-prostheses. Am J Dent, in press, 2012. (査読あり)にて論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月11日の震災による長時間にわたる停電に伴い、継続研究課題に使用する予定であった低温保存した実験用試薬(Insta gene matrix kit, PCR用Primer等)および研究用試料は信頼性を損なったため、新たな試薬の調達、実験試料の収集を余儀なくされた。また、研究を遂行するのに不可欠な嫌気グローブボックスやインキュベーター、PCR装置等の実験機器は、専門業者による長期にわたる修理を要する被害が発生した。さらに、東北大学病院歯科咬合回復科は制限、縮小化した外来業務の後に、旧来の外来業務再開に至ったものの、継続研究課題に関わる被験患者からの試料採集作業を計画通り実施することが困難であった。再度研究計画の補強ならびに計画評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、パラサイト(微生物)の付着制御・増殖抑制ならびに材料の抗劣化性という機能を付与した衛生的で、より生体安全性の高い新しい義歯床用材料の開発に資することを目的とし、義歯床用材料として頻用される歯科用アクリルレジンの表面及び内部に存在する特有のバイオフィルム微生物叢の定量的・定性的解析を継続して行う。また、歯科用アクリルレジンの生物学的劣化(Biodegradation, Biodeterioration)の解析を行うために、まず、歯科用アクリルレジン試験片を作製し、歯科用アクリルレジン表面への微生物の付着・材料内部への侵入メカニズムについて検討を行う。さらに歯科用アクリルレジンの生物学的劣化の評価について検討を行い、パラサイト(微生物)―歯科用アクリルレジン間インターフェイスの特徴を明らかにし、その改質方法を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
義歯表面および内部からの微生物の検出ならびに微生物の量と密度の測定し、各微生物株の分離および微生物種の同定を継続して行う。これらを検討するために、シークエンス解析(50試料分20万円)と新たなDNA解析方法であるDNAマイクロアレイ(16試料分35万円)を計上する。また、歯科用アクリルレジン表面への付着・材料内部への侵入メカニズムの解析および歯科用アクリルレジンの生物学的劣化の評価を行うための試料の製作(試料製作費20万円)を計画している。さらに、歯科用アクリルレジンにおける細菌の付着について、多くの報告がなされているブラジル(イグアス)で開催される学術学会(IADR Brazil 2012)に参加し、本研究の遂行、発展のために打ち合わせおよび資料収集を行う予定である(学会旅費40万円、学会参加費5万円)。
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Research Products
(3 results)