2011 Fiscal Year Research-status Report
ECRプラズマCVDセラミックコーティングの硬質レジン前装冠への応用
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23792203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸森 亮太朗 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (80534065)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | プラズマCVD / チタニアコーティング / 硬質レジン前装冠 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 硬質レジン前装冠の製作過程で従来用いられてきた機械的嵌合によるレジンの維持とオペークによる金属色の遮蔽に替わる,金属とレジンの全く新しいインターフェイスを創造し,より優れた耐久性と審美性を備えた硬質レジン前装冠を製作することにある.製作したチタン基板を用いて,マイクロ波プラズマCVD装置にてTiO2膜の成膜を行った.基板予備酸化温度が700 ℃~1000 ℃,酸素分圧が約10 Paの雰囲気中にて10時間予備酸化を行った後に,マイクロ波プラズマCVD装置にて成膜することとした.ISO-26443のセラミックスコーティングの付着強度評価法に基づき,各条件にてマイクロ波プラズマCVDにて成膜された被膜の付着強度を評価した.デジタルロックウェル硬度計(FUTURE-TECH FR-1e)を用い,成膜した被膜の表面に588.6 N(60 kgf)の一定の力で圧痕を付け,その周囲の膜の状態を光学顕微鏡にて倍率100倍にて観察し,付着強度を評価した.予備酸化温度800℃のものでは,Ptot=0.2 kPa, PM=0.8 kWのものが,予備酸化温度850℃のものでは,Ptot=0.2 kPa, PM=0.8 kW及びPtot=0.4 kPa, PM=1.0 kW,900℃のものでは,Ptot=0.4 kPa, PM=0.8 kWのものが比較的良好なClassを示したが,本実験でそれぞれ予備酸化温度,マイクロ波出力(PM),成膜圧力(Ptot)を変化させた値の範囲では,明らかな違いは見られなかった.しかし,成膜圧力が高く,マイクロ波出力が強くなるほど付着強度が下がる傾向が見られた.また,同一条件の試料においても,付着強度に違いが見られた.これはプラズマや,パラメータの安定性が原因であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災が起こり,実験施設の環境整備や実験装置の修理などに数ヶ月の時間を要した.そのため,実験開始が遅くなり,当初の実験計画通りにはいかず,やや遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして,TiO2膜との接着に最適なカップリング剤,また最適なレジンを,歯科用金パラジウム銀合金で製作した板状試料に塗布・築盛し,熱サイクル試験および繰り返し荷重による疲労試験、SEMにより破壊様相の観察を行う.その結果を,当教室で行ってきた従来型の機械的維持を用いた方法の疲労試験の結果と比較検討を行う.また臨床形態試料(上顎中切歯想定)を製作し,板状試料と同様に熱サイクル試験,疲労試験を行う.さらに,実験にて得られた結果を取りまとめ,成果の発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、消耗品が経費の大半を占め,主に金属やレジン,薬品類などである.また,研究成果の発表のための旅費や論文の投稿料も経費として使用する予定である.
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