2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792209
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
飼馬 祥頼 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30401326)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 視覚野 / 口腔形態認識 / 咀嚼運動 |
Research Abstract |
咀嚼運動の円滑な遂行には顎口腔系の感覚および運動能力が重要な役割を担っていることは明らかである。平野らは、口腔感覚運動能力の評価に口腔形態認識能(Oral Stereognosis Ability: OSA)試験を用い、咀嚼の進行度を表す咀嚼効率との間に正の相関関係があることを明らかにし、咀嚼すべき食塊の選別に必要な情報は咀嚼の円滑な進行に重要であることを示唆している。また成田らは、光トポグラフィーを使用して、ガム咀嚼時に視覚野の活動性が確認されることを、また一次視覚野領域のOxy-Hb濃度はガムの大きさ、ならびに硬さの増加に応じて有意に上昇することを報告している。これらの報告から、咀嚼する食品の性状、サイズは咀嚼に影響を及ぼし、さらに、食塊形成が困難な食品ほど、大脳皮質による処理を受けて咀嚼運動が遂行されることが予想され、口腔内の物体の形態認識時には大脳皮質が関与し、さらには視覚野の処理を受けることが予想されるが明らかとなっていなかった。平成23年度の研究目的は、視覚を介さない口腔内及び手指による形状弁別時に、視覚野が存在する後頭皮質領域の脳血流量の変化を光トポグラフィーを使用して、明らかにすることとした。 被験者は、成人男性6名であった。視覚を介さない口腔および手指による形状弁別試験には、6種類(円・楕円・正方形・長方形・三角形・半円)の形態を使用した。口腔内、手指および各模擬形状弁別試験時の後頭皮質領域の脳血流量の変化をfNIRS計測装置により計測した。これらトライアルは全てランダムな順序で行った。 口腔および手指による形状弁別時において、探索期によく対応した[oxy-Hb]の変化が認められ、後頭皮質領域の活動性が示された。また、試料を用いない模擬形状弁別時における[oxy-Hb]の発現は明らかに低下傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請時は、口腔内の形状弁別試験時の後頭皮質領域の活動を調べる予定であったが、手指による形状弁別試験を新たに加えたことで当初の研究計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度手指による形状弁別試験を新たに加えたことで、口腔及び手指による形状弁別の視覚野の活動性に何らかの関連もしくは相違が認められるかを明らかにすることは大変興味深いこととなった。平成23年度の測定結果より、形状弁別は試料の難易度によって後頭皮質領域の活動性に相違がある可能性が高く、また口腔および手指の形状弁別時には、いわゆる"慣れ"による学習効果が存在することも明らかとなった。咀嚼効率との関連を明らかにする前に、形状弁別についての詳細を脳血流量の観点から再検討する必要があると考えられる。 平成24年度は、形状弁別試験時の試料を変更し、難易度による比較検討を行うこと、また形状弁別の学習効果による影響を明らかにすることが必要と思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、実験データーを取得することが必要である。ヒトを対象とした実験であるため、謝金が必要と思われる。また、研究結果のデータ解析のためのパーソナルコンピュータ及び統計解析用ソフトを購入し、学会発表を行う予定である。
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