2012 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼時の唾液分泌機序に着目した口腔乾燥症に対する新たな治療法の確立
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23792223
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兒玉 直紀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70534519)
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Keywords | 顎下腺 / 唾液分泌 / 大脳皮質咀嚼野 / ラット / 顎運動 / 顎二腹筋 |
Research Abstract |
本研究の目的は,① 咀嚼運動時の刺激唾液ならび咀嚼関連筋の筋活動を電気生理学的に検証し,② 大脳皮質咀嚼野を中心とする中枢神経系の脳内機能調節メカニズムを解明し,③ 顎運動と唾液分泌機序との関連について解明することとした.さらには,日常の歯科臨床で用いることができる唾液分泌促進方法を開発し,国民の健康増進に貢献できる方法を確立することとした. 実験には250~350gの雄性Wistarラットを用い,ウレタンとペントバルビタールの腹腔内投与によって麻酔した.脳定位固定装置を用いてラットを固定し,左側大脳皮質咀嚼野のA-areaとP-areaを中心に単極金属電極で連続電気刺激を行った(0.2ms,0.25mA).刺激頻度は5Hz,10Hz,20Hz,50Hzで,それぞれ20秒間刺激した.顎運動はオトガイ部に付着したマグネットの動きを磁気センサーを用いて描記し,筋活動は右側咬筋および顎二腹筋に係留したワイヤー電極より導出した.唾液分泌は左側顎下腺導管にカニューレを装着し,分泌圧として計測した.これらの信号はデータ解析装置(Power Lab 8/30)に取り込み専用解析ソフトで分析した.実験終了後,刺激部位を同定するために刺激電極に直流通電を行い,刺激部位を凝固させた.ホルマリン溶液にて灌流固定を行い脳を摘出し,スライス標本作製後,Nissle染色を行い,刺激部位を確認した. その結果,1) 電気刺激によって,A-areaでは約5~7Hz,P-areaでは約3~5Hzの異なる頻度のリズミカルな顎運動が誘発され,2) P-areaの電気刺激では顎運動と同時に唾液分泌が誘発されたが,A-areaの刺激では唾液分泌は生じなかった.
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