2012 Fiscal Year Annual Research Report
咬合感覚閾値の経時的変化が心理的ストレスにより可塑性変調する可能性に関する研究
Project/Area Number |
23792225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖 和広 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00346454)
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Keywords | 咬合 / 歯根膜感覚 / 咬合感覚 / 脳波 / 心理的ストレス |
Research Abstract |
申請内容に従って,健常成人22名(男性12名,女性10名,平均年齢26.7±4.1歳)を対象とし,脳電図を記録しつつ上顎右側第一大臼歯の歯根膜感覚閾値(Force Perceptional Threshold; FPT)および咬合感覚閾値(Voluntary Biting Force; VBF)を,5分間の閉眼安静直後,5分間の視覚的心理的ストレス呈示直後,および再度の5分間閉眼安静直後に計測した.実験終了後に,呈示スライドに対する心理的ストレスの主観評価をVisual Analog Scaleによって行い,その結果から,被験者を低ストレス群,中ストレス群,高ストレス群に分けて解析を行った. 脳電図に関しては,全群において閉眼安静時にα波が優位に観察され,スライド呈示時には前頭部優位にβ波が観察された. FPTに関しては,低ストレス群においてスライド呈示後に有意に増加した(one way repeated ANOVA, p = 0.006).中ストレス群では計測時期における有意差はみられず,スライド呈示前後には有意な相関(R = 0.772, p = 0.003)がみられた.高ストレス群では,初回と2度目の閉眼安静直後のFPT値に統計的有意差がみられた(one way repeated ANOVA, p = 0.007). 一方,VBFに関しては,中ストレス群においてスライド呈示後に有意な減少がみられ(one way repeated ANOVA, p = 0.032),低ストレス群ではスライド呈示後に有意な相関を示したが(R = 0.995, p = 0.000),統計的有意差はみられなかった.高ストレス群では統計的な差と相関が計測時期間においてみられなかった. 以上の結果から,心理的ストレスの程度によって歯根膜感覚閾値と咬合感覚閾値は異なる可塑性変調を示すことが示唆された.
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