2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792228
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森田 晃司 広島大学, 病院, 助教 (30555149)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 再生医療 / 歯学 / 生体材料 |
Research Abstract |
これまでの研究では、生体に近似する鎖長65の中鎖型ポリリン酸を用いてきた。予備実験からこの中鎖型ポリリン酸より長い鎖長を持つ長鎖型ポリリン酸が、破骨細胞によるポリリン酸の分解を遅らせて、骨吸収の抑制とポリリン酸の骨形成効果を持続できる可能性が明らかになった。そこで、鎖長の長いポリリン酸を用いることで、骨芽細胞の活性化が低下している骨内での骨再生がポリリン酸の作用延長によりさらに確実にならないかと着想した。本研究の目的は、長鎖型ポリリン酸を吸着させたアパタイト人工骨の骨形成能をin vitroおよび in vivoで解明することである。平成23年度では『鎖長の長いポリリン酸吸着型アパタイト人工骨』に関して従来の鎖長65に加えて、15および130の鎖長に調整したポリリン酸とマウス頭蓋骨由来骨芽細胞を培養し、骨形成時に特異的に発現するALP活性およびオステオカルシンを28日後までに経時的に測定した。さらに、アリザリンSレッド染色を用いて同様に21日、28日後での石灰化度を光顕的に観察した。得られた結果から、21日および28日後のALP活性およびオステオカルシンの発現は、鎖長65のポリリン酸の場合で他の鎖長と比較して有意差は認められなかったものの高かった。また、石灰化においても鎖長15および65のポリリン酸の場合に顕著な石灰化を認めた。実験中であるポリリン酸と破骨細胞との詳細な関連はまだ明らかになっていないもののこれらの結果から、骨形成において従来の鎖長65のポリリン酸が骨再生能を促進する可能性が示された。平成24年度では、現在実験中であるポリリン酸と間葉系幹細胞および破骨細胞との関連を明らかにするとともに、さまざまな鎖長をもつポリリン酸を吸着させたアパタイト人工骨の骨形成能を骨粗鬆症型の動物を用いてin vivoで実験し、ポリリン酸のより詳細な機能を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究では、生体に近似する鎖長65の中鎖型ポリリン酸を用いてきた。予備実験からこの中鎖型ポリリン酸より長い鎖長を持つ長鎖型ポリリン酸が、破骨細胞によるポリリン酸の分解を遅らせて、骨吸収の抑制とポリリン酸の骨形成効果を持続できる可能性が明らかになった。そこで、鎖長の長いポリリン酸を用いることで、骨芽細胞の活性化が低下している骨内での骨再生がポリリン酸の作用延長によりさらに確実にならないかと着想した。本研究の目的は、長鎖型ポリリン酸を吸着させたアパタイト人工骨の骨形成能をin vitroおよび in vivoで解明することである。平成23年度では『鎖長の長いポリリン酸吸着型アパタイト人工骨』に関して従来の鎖長65に加えて、15および130の鎖長に調整したポリリン酸とマウス頭蓋骨由来骨芽細胞を培養し、骨形成時に特異的に発現するALP活性およびオステオカルシンを28日後までに経時的に測定した。さらに、アリザリンSレッド染色を用いて同様に21日、28日後での石灰化度を光顕的に観察した。得られた結果から、21日および28日後のALP活性およびオステオカルシンの発現は、鎖長65のポリリン酸の場合で他の鎖長と比較して有意差は認められなかったものの高かった。また、石灰化においても鎖長15および65のポリリン酸の場合に顕著な石灰化を認めた。実験中であるポリリン酸と破骨細胞との詳細な関連はまだ明らかになっていないもののこれらの結果から、骨形成において従来の鎖長65のポリリン酸が骨再生能を促進する可能性が示され、鎖長65のポリリン酸の骨芽細胞への作用の一端が解明された。また、さまざまな鎖長のポリリン酸と破骨細胞との関係について現在実験中である。以上の結果から、交付申請書に記載した研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度では『鎖長の長いポリリン酸吸着型アパタイト人工骨』に関して従来の鎖長65に加えて、15および130の鎖長に調整したポリリン酸とマウス頭蓋骨由来骨芽細胞を培養し、骨形成時に特異的に発現するALP活性およびオステオカルシンを28日後までに経時的に測定した。さらに、アリザリンSレッド染色を用いて同様に21日、28日後での石灰化度を光顕的に観察した。得られた結果から、21日および28日後のALP活性およびオステオカルシンの発現は、鎖長65のポリリン酸の場合で他の鎖長と比較して有意差は認められなかったものの高かった。また、石灰化においては鎖長15および65のポリリン酸の場合に顕著な石灰化を認めた。実験中であるポリリン酸と破骨細胞との詳細な関連はまだ明らかになっていないもののこれらの結果から、骨形成において従来の鎖長65のポリリン酸が骨再生能を促進する可能性が示され、鎖長65のポリリン酸の骨芽細胞への作用の一端が解明された。また、さまざまな鎖長のポリリン酸と破骨細胞との関係について現在実験中である。以上の結果から、平成24年度では第一にポリリン酸の骨再生に有益な鎖長を決定する。その後、骨再生に有効な鎖長を持つポリリン酸を吸着させた人工骨を作製し、この人工骨を鎖長65のポリリン酸吸着型人工骨とアパタイトとともにラビット大腿骨に埋入し、埋入1、2および3週における骨マーカーの発現と骨再生の組織学的な観察および組織形態計測を行う。得られた結果から、確実な骨再生ができるか否かを明らかにし、鎖長の異なるポリリン酸の骨形成能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では、平成23年度に得られた結果を基にしてポリリン酸の骨再生に有益な鎖長を決定する。その鎖長をもつポリリン酸吸着型人工骨を動物の生体内に埋入した場合、どのような骨再生促進の様相を表すのかを調査する。以下に平成24年度に使用を予定している材料を記載する。現在実験中のポリリン酸と破骨細胞との関連を調査するための細胞実験用各種器具、細胞培養培地および免疫抗体染色キット、また骨再生に有益な鎖長を持つポリリン酸を吸着させた人工骨を作製するためのアパタイトプレート、この人工骨を鎖長65のポリリン酸吸着型人工骨とアパタイトとともにラビット大腿骨に埋入するための動物購入費、飼育費および各種動物実験に必要な動物実験用薬品や切削用ドリルキット等、その後埋入1、2および3週における骨マーカーの発現と骨再生の組織学的な観察および組織形態計測を行うための標本作製用薬品および組織切片作製費が本年度に必要である。
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