2012 Fiscal Year Research-status Report
末梢性顔面神経麻痺患者における口腔機能障害の評価法
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23792253
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加茂 博士 日本大学, 歯学部, 専修医 (00525876)
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Keywords | 末梢性顔面神経麻痺 / 顔面神経 / 咀嚼 / 口腔衛生能 |
Research Abstract |
実験1として口腔前庭自浄能の測定を14人の急性特発性顔面神経麻痺と14人の健康被験者に対して行った。また、実験2としてグミゼリーの咀嚼によって咀嚼能率の観察を16人の急性特発性顔面神経麻痺と16人の健康被験者に対して行った。これらの口腔機能の観察は初診時と終診時に行った。結果:初診時の口腔自浄能は健康被験者と比較して顔面神経麻痺によって有意( p < 0.001 )に減少したが、治療によって顔面筋の機能は回復した。また、顔面神経麻痺と食物残差との関係には有意な相関がみられた。初診時に患側の咀嚼能はコントロールに比べ有意に低かったが、顔面神経麻痺が解決した後はほぼ回復した。結論:末梢性顔面神経麻痺によって口腔機能は減少した。口腔前庭自浄能は顔面筋の筋機能に関連性があり、これらの結果は、顔面神経麻痺によって咀嚼や口腔衛生能を悪化させ、それらは口腔の疾患を起こしうるかもしれないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの研究によって、末梢性顔面神経麻痺によって口腔機能が明らかに障害を起こすことを定量的に評価できた。また、口腔前庭自浄能は顔面筋の筋機能に関連性があることも示すことができ、これらの結果は、顔面神経麻痺によって咀嚼や口腔衛生能を悪化させ、口腔疾患を起こしうるかもしれないことが示唆された。これをClinical Otolaryngologyに投稿。掲載確定している。しかしながら、口腔機能の回復に関する機能訓練に関しては未だ有効な方法が考えられていない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、顔面神経麻痺患者に対する機能訓練の効果を検討する。初診時にステロイド療法の他に我々の考案した機能訓練法を希望する患者を対象に、実験補助者によって機能訓練を指導する。初診時と終診時(柳原法で36点以上になった場合もしくは1年後)の口腔機能を測定し、24年度までに収集した健康被験者と機能訓練をしなかった患者のデータと比較検討することにより、効率的な機能訓練法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予想以上にスムーズに計画が進行したため、本年度に論文発表までたどり着くことができたが、計画書に記載した口腔機能の回復に関する機能訓練に関しては未だ達成されていないため、次年度使用額が発生した。今年度はこれまでの研究成果の発表や臨床での患者教育を行って行く予定である。適切なデータを記録するためには、機能訓練を患者自身が的確に行える必要がある。このため24年度次年度使用額と25年度経費を合わせて補助者への手当と視覚資料の作成に必要なPCやこれを映し出すモニタなどに充てる予定としている。
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Research Products
(2 results)