2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌・セルフクリーニング機能を有する義歯床用材料の開発
Project/Area Number |
23792255
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
澤田 智史 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (80550821)
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Keywords | 義歯 / 抗菌 / セルフクリーニング / 光触媒 / 二酸化チタン / アクリルレジン / 口腔ケア |
Research Abstract |
日本における高齢人口は年々増加をしており,それに伴い要介護高齢者数も増加すると推測されている.このような背景では義歯の需要は増加するため,口腔衛生管理の面において誰しもが簡便で容易に汚れ(デンチャープラーク)が除去できる義歯清掃法の考案は重要な意義をもつ. 本研究は,義歯床用材料(アクリルレジン)に光触媒(複合型二酸化チタン)を用いることで,光を当てるだけで光触媒効果により汚れがつきにくい,もしくは,容易に汚れが取れるセルフクリーニングデンチャーの開発を目的としたものである. 研究初年度では,光触媒機能評価(セルフクリーニング効果;酸化分解反応+超親水性効果)で強い酸化力を持つヒドロキシラジカルの検出・同定された.また,超親水性効果はISO10678を改変して行い,フッ素型被覆二酸化チタン配合レジンは従来型と比較して有意にメチレンブルーを分解する事が示された. 研究最終年度では,細菌に対する抗菌効果および材料学的評価について検討を行った.その結果,義歯性口内炎や誤嚥性肺炎と関わりをもつカンジダに対して有意に抗真菌効果が得られ,また,カンジダのレジン表面への付着も抑制することが示唆された.また,材料学的評価は3点曲げ試験を行い検証したところ,フッ素型被覆二酸化チタンをレジンに配合することで曲げ強度は減少するものの,従来の二酸化チタンと比較し強度減少は抑制された.また,光照射後の影響についても,ISO1567を満たす強度を示した. 一連の研究を総括すると,フッ素型被覆二酸化チタン配合レジンは従来の光触媒と比較し,より光触媒機能を発揮しながらも機械的強度の低下は抑制することから,就寝時取り外した義歯に紫外線照射を行うだけで汚れを分解し,なおかつ,義歯表面性状を亢進することで汚れが付きにくいセルフクリーニングデンチャーの臨床応用への基盤となる結果が築けたと考えられる.
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