2011 Fiscal Year Research-status Report
味や香りが異なる食品の咀嚼によって生じる脳および全身の変化についての検討
Project/Area Number |
23792263
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 陽子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60432457)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 咀嚼 / 味と香り / 脳循環 / 体循環 / 自律神経活動 |
Research Abstract |
本申請課題は,味や香りが異なる食品の咀嚼によって生じる脳および全身の変化について明らかにすることが目的である.すなわち,味や香りの異なる食品の咀嚼によって脳に伝えられる情報が中枢でどのように処理されて全身に伝達されるのかを,脳血流・自律機能(神経性・体液性)・体循環(心拍・血圧),咀嚼時の情動という因子を複合的に分析し明らかにする試みである.研究は,1.食品の味・香りの違いが脳血流および体循環に与える影響について,2.食品の味・香りの違いが咀嚼中の嚥下に与える影響について,3.食品の味・香りの違いが咀嚼運動時の自律神経活動に与える影響について,の3項目に分けて行う.すでに申請者は味・香りが咀嚼時の脳血流に与える影響を検討するための実験を行っており,脳血流は味・香りの変化に影響されること,咀嚼時の脳血流と自律神経活動および情動の変化との間には何らかの関連性が認められることを明らかにし,論文投稿予定である.また本年度は,実験機器の動作確認や被験者の確保を行い,学内倫理委員会への申請,実験補助者への協力依頼や教育など,実験を遂行するための環境の整備を行った.その上で,味と香りが異なる食品を製作し,6種類のガム咀嚼時の唾液を採取し,唾液に含まれるストレスマーカーとなるホルモンの分析を終了させている.本申請課題の結果,味や香りが様々であり,多様な情動を生じさせる被験食品を咀嚼する時のストレスを明らかにすることができれば,食事をおいしく・楽しく食べる生理的意義の一端を明らかにすることができ,同時に口腔機能の維持および回復の意義について,新たな見地からエビデンスを付加することができると予想される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験機器や場所の確保を行い,被験者の確保,学内倫理委員会への申請,実験補助者への協力依頼など,実験を遂行するための環境の整備を行った.また,唾液の生化学分析を行うために,兵庫医科大学の共同実験施設の分析調整分野の技官の協力を得て予備実験を行い,唾液に含まれるストレスマーカーとなるホルモン (コルチゾール) の定量を行い,実験協力者とともにタンパク定量ができるようになった.さらに,甘味成分 とそれぞれにマッチした香りを含んだ被験食品 (ガム)の作製を食品会社に依頼し,予備実験としてガム咀嚼時の咀嚼筋筋活動を計測し,同程度の硬さ,粘度になるよう調整したものを製作した.製作した被験食品5種類を用いて約100名の唾液を採取し,唾液分泌量の計測とタンパクの同定を行った.その結果は,9月に開催される学会での発表と,その後の英文執筆を予定している.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在,心拍血圧ゆらぎおよび脳波計測で世界的に有名な大学での研修を行っている.計測方法,分析方法,データ解釈に対するトレーニング終了後は,本申請課題のテーマである心拍血圧ゆらぎ解析によるストレス分析を行う予定である.また,すでに行った実験に用いた被験食品は,味成分とそれぞれにマッチした香り (例;酸味とレモン,甘味とイチゴ) を含んだガムを用いたが,味と香りがミスマッチな場合 (例;酸味とチョコレート,苦味とイチゴ)は,未だ検討していない.すなわち,美味しくない食品を咀嚼した場合は,情動の変化やストレスをともない,ストレスホルモンや唾液分泌に影響を与えると予想される.そこで,"おいしくない"食品を咀嚼した場合のストレスホルモンと唾液分泌について今後検討を加える予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は昨年度に引き続き,電極や電池などの消耗品,唾液の生化学分析を行うために必要な機材および消耗品を計上している.データ収集および分析には,実験協力者の参加が不可欠であり,謝金を計上してある.また,被験食品の準備と購入に費用がかかることが予想される.さらに,海外研修費用や学会発表や研究打ち合わせのための旅費および論文執筆後の校正,出版に費用がかかると予想される.
|
-
-
[Journal Article] Movement of the mandibular condyle and articular disc on placement of an occlusal splint2011
Author(s)
Hasegawa Y, Kakimoto N, Tomita S, Honda K, Tanaka Y, Yagi K, Kondo J, Nagashima T, Ono T, Maeda Y.
-
Journal Title
Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology, Oral Radiology, and Endodontology
Volume: 112
Pages: 640-647
URL
Peer Reviewed
-
-
-