2012 Fiscal Year Annual Research Report
味や香りが異なる食品の咀嚼によって生じる脳および全身の変化についての検討
Project/Area Number |
23792263
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 陽子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60432457)
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Keywords | 咀嚼 / 味と香り / 脳血流 / ストレス / 情動 |
Research Abstract |
本研究では,まず,様々な味・香りのガム咀嚼中の脳血流変化および体循環,自律神経活動(心拍血圧ゆらぎ解析)を評価し,味・香りの変化にこれらが受ける影響について検討を行った.その結果,味・香りがあるガムを咀嚼した時が最も脳血流が上昇し,味のある食品を摂取することが脳循環をはじめとする循環系の賦活化に重要であることが示された. また,無味のガム咀事では心臓迷走神経活動が変化しなかったため循環系の賦活が抑制されたと考えられ, 自律神経活動が循環調節に深く関わっていることが示された. 本結果については英文にまとめ,掲載決定済みである. 次に,ガム咀嚼時に分泌される唾液中のコルチゾールを計測し,味および香りが異なるガムを咀嚼した時のストレス反応を明らかにすることを目的に実験を行った. 健常成人96人の被験者に対し,味・香りの異なるガム咀嚼時に分泌される唾液中のコルチゾールを計測し,味・香りが異なるガム(無味,甘みのみ,レモンの香りのみ,甘み/酸味,甘み/レモンの香り)を咀嚼した時のコルチゾール計測と官能試験を行った.その結果,甘み/レモンの香りがあるガムが最もおいしいと被験者らは感じており,咀嚼による唾液分泌量とコルチゾール濃度は,甘み/レモンの香りのガムが他5種類の唾液より高い値を示したことから,おいしいと感じる味・香りのあるガム咀嚼によってストレス抑制効果のあるコルチゾールが多く分泌されることが分かった. また,f-MRIを用いて咀嚼時の脳血流計測を行うための予備実験として,顎口腔運動前後の頭位変化の影響をMRIを用いて評価した.その結果,運動前後の相関係数は0.97であり,頭位の変化は小さかった.さらに,顎口腔系の不随意運動時と咀嚼運動時のストレス反応を比較する為に,睡眠時ブラキシズム前後の心拍ゆらぎを記録し,解析をおこなった.その結果は現在総括中である.
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