2011 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲンスキャホールドにFGF-2を併用した新しい歯周組織再生療法の開発
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23792266
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昭人 北海道大学, 大学病院, 医員 (40507571)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周組織再生 / FGF-2 / コラーゲン / 分岐部病変 / 再生医学 / 動物実験 |
Research Abstract |
今年度はFGF-2を添加したコラーゲンスキャホールドを欠損部に埋入する新しいコンセプトの歯周組織再生療法を開発することを目的として、まずFGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体の作製を行った。 FGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体の作製:ウシ真皮由来アテロコラーゲン粉末に滅菌蒸留水を加え攪拌後、塩酸を加えてアテロコラーゲン溶液とし、L(+)-アスコルビン酸と塩化第二銅二水和物を加え作製した。 FGF-2をコラーゲンハイドロゲルに混和、攪拌して、FGF-2含有コラーゲンハイドロゲル溶液とした。FGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体は、5×3×4mmのサイズに成形したコラーゲンスポンジをFGF-2含有コラーゲンハイドロゲル内に含浸させて作製した。 作製したFGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体の歯周組織再生効果を評価するため、動物実験として歯周組織欠損への埋入手術を行った。 FGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体の歯周組織欠損への埋入手術:実験動物にはビーグル犬を使用し、被験部位は上下顎前臼歯とした。全身および局所麻酔下で頬側歯肉歯槽粘膜を部分層弁剥離して、頬側の根分岐部に高さ5mm、水平的深さ3mmのclassII根分岐部骨欠損を作製した後、セメント質を除去した。次に根面を24%EDTAで脱灰後、実験群ではFGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を根分岐部欠損内に埋入し、コントロール群では何も埋入せずに歯肉歯槽粘膜弁を復位縫合した。また臨床診査を術前及び術後4週目に行った。手術4週後、実験動物を安楽死させ、観察部位周囲組織を一塊として摘出した。その後通法に従って組織標本を作製した。 現在、動物実験ならびに組織学的観察のための準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り平成23年度は、FGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を作製し、ビーグル犬の前臼歯classII根分岐部病変にFGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を埋入する動物実験を行った。現在、観察期間が終了した実験動物は標本作製に取り掛かっており、今後標本の組織学的観察、組織学的計測ならびに統計分析を行っていく。観察・計測結果を取りまとめた後は学会発表ならびに論文投稿の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在順調に動物実験を行っており、観察期間が終了次第、組織標本作製を行っていく。組織標本作製後には組織学的観察ならびに組織学的計測を行い統計処理するが、これらの作業には時間を要するため指導大学院生(大学院2年:百瀬)にも研究協力してもらい、速やかに結果をまとめる方針である。結果は、学会発表、論文投稿で本研究の成果を公表予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に引き続き、埋入手術および臨床診査の動物実験を継続して行う。また、観察期間が終了した実験動物を順次組織標本化する。 組織学的計測:各部位の歯根中央部の切片と中央部から頬舌方向にそれぞれ180μm離れた切片の計3枚のヘマトキシリン・エオジン重染色標本を選択して、光学顕微鏡像をパーソナルコンピューターに取り込み、画像解析ソフトを用いて組織再生に関する項目について計測を行う。 統計分析:計測項目の平均値と標準偏差を算出後、統計処理ソフトを用いて分析を行う。 平成25年度 平成23年度、24年度に得られた結果を基にして、FGF-2含有コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体の歯周組織再生効果を評価する。また成果発表として観察・計測結果を取りまとめ、日本歯周病学会、国際学会で発表を行い、英文雑誌に論文投稿を行う予定である。 なお、当初の想定より消耗品の使用が少なく済んだため、平成23年度に未使用額が生じた。平成24年度において実施する組織学的計測・統計分析に使用する予定である。
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