2011 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞ホーミングとナノ高次構造スキャホールドによる新規骨再生療法
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23792276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉見 涼子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40547543)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 再生医療 / 成長因子 / 幹細胞 |
Research Abstract |
ここ数年、組織工学的手法を用いて組織再生を行った際、移植された幹細胞が果たす役割は、オートクラインではなく、パラクライン効果ではないかと考えられるようになってきた。すなわち、移植幹細胞自体が移植先の組織を形成する細胞に分化して組織再生に関与したのではなく、場に応じた宿主幹細胞の遊走、増殖、分化を促す生理活性物質を移殖幹細胞が産生し、間接的に組織再生に関与している可能性が示唆されるようになってきた。この、宿主幹細胞が目的とする部位に遊走することをホーミングといい、最近特に注目されている。生体内の各所に散在する幹細胞にはそれぞれ遊走を促す生理活性物質があるとされており、組織の欠損部位にその物質を投与することで、細胞を移植することなく宿主幹細胞を誘導することが可能となると考えられている。同時に細胞増殖、分化誘導を促進する物質を投与できれば、より効率の良い組織再生が可能になるといえる。 今回我々は、ヒト骨髄由来幹細胞から培養上清を回収、凍結乾燥によって粉末化し、その成分の解析、幹細胞への影響、骨再生法の開発、検討を行った。この粉末化した培養上清にはIGF-1、VEGF、TGF-β1、HGFなど多くの生理活性物質が含まれており、培養中の幹細胞の培養液に添加すると、増殖能、遊走性ともに向上することが認められた。アガロースゲルやコラーゲンを担体として、ラットおよび犬の骨欠損モデルに移植することによって、幹細胞が移植部位に誘導されること、さらに骨再生が行われることも確認された。 以上の結果から、幹細胞は実際に、宿主幹細胞の遊走、増殖、分化を促す物質を産生、分泌しており、その回収け非常に簡便で侵襲度が低ぐ、移植までの期間も短縮可能な、新たな骨再生療法に応用しうる可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)