2012 Fiscal Year Annual Research Report
超熱伝導グラファイトフィラーによる義歯床用レジンのコンポジット化
Project/Area Number |
23792287
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
村原 貞昭 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80404490)
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Keywords | 超熱伝導グラファイト / 義歯床用レジン / 歯科用合金 |
Research Abstract |
平成23年度にはまず、義歯床用レジンのコンポジット化に最適なグラファイト材料について比較検討した結果、現時点で他と比較して格段に熱伝導に優れた「PYROID-HT」を用いることが本研究の目的に最も適していることが確認された。本材料は米国ミンテック社製で、ブロック状で供されるが、レジンとのコンポジット化のためには細かい形状である必要がある。当研究機関ではこの作業が不可能なため、日本国内で「PYROID-HT」の取扱いを行っている株式会社サーモグラフィティクスに協力を依頼し、平均粒径75μmの粉末状への加工を行った。合わせてグラファイト材と義歯床用レジンとの有効な接着用表面処理法を検討するための板状試験片の作製も行った。接着試験の結果、両者の接着にシランカップリング剤が有効であることが確認された。これらの結果を踏まえて、コンポジット化した義歯床用レジンの試作を行った。ところが、グラファイト材の添加により、床用レジンの機械的強度は予想以上に大きく変化し、義歯用として必要な曲げ強度が十分得られないことが判明した。グラファイトの添加量を減らすことで義歯用として許容しうる曲げ強度は維持できるものの、熱伝導率の向上効果が十分に得られないことが確かめられた。そこで、平成24年度においては、超熱伝導グラファイトを使用して、義歯床の熱電度を向上させるという目的はそのままに、ターゲットを床用レジンから床用合金へと転換することとした。超熱伝導グラファイトと圧接加工することで強固に接着する特徴があり、すでに工業向けに実用化がなされている。そこで、歯科用合金である金合金、コバルト・クロム合金、チタンについて超熱伝導グラファイトとの複合体の試作を行った。いずれの金属においても複合化によって熱伝導性の向上を認めたが、実用化するには、加工性や強度の改善が今後の課題である。
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Research Products
(2 results)