2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792289
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
建部 二三 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10534448)
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Keywords | インプラント / 細菌付着 / 抗菌性 / ラクトフェリン |
Research Abstract |
本研究の目的は、インプラントに使用される材料表面への細菌付着のメカニズムを解明することと、材料表面へ抗菌蛋白質(ヒトラクトフェリン:LF)を修飾し、抗菌性を持つインプラント材料の開発をすることである。 平成24年度は、純チタン(Ti)、窒化チタンをイオンプレート法でコーティングした純チタン(TiN)、イットリア安定化ジルコア(Zr)について、①LF吸着試料の細菌付着抑制効果についてS.gordonii(S.g)以外の細菌も調べる。②LF吸着試料の細胞への影響を調べる。③試料の表面ぬれ性や電位を変え、細菌付着への影響を検討し、インプラントに使用される材料表面と細菌の付着のメカニズムを検討する。以上3点であった。 ①については、P. gingivalis(P.g)、F. nucleatum(F.n)について検討した。さらにS.gとP.gまたはF.nの混合培養を行い、LF吸着群と対照群(水中に24時間浸漬した試料)への細菌付着について調べた。結果、P.gではLF吸着群と対照群の間に有意差は認められなかったが、F.n、S.g+P.g、S.g+F.nではLF吸着群で細菌付着量が著しく減少し、付着細菌において死細菌の量が増えていた。また、菌体が膨張している像や、複数の細菌が融合している像がSEMで観察された。 ②については、LF吸着群と対照群についてヒト歯肉線維芽細胞を48時間培養し、MTT法にて細胞の生死を比較した。結果、Ti、TiN、Zr、全ての試料においてLF吸着群と対照群の間に有意差は認められなかった。 ③については、酸性フッ化物溶液中にTiを浸漬することで表面が粗造化し、ぬれ性が向上した試料を作製し、細菌付着について検討した。結果、表面が粗造化し、ぬれ性が向上した純チタン上では細菌付着量が増加するが、LFを吸着することにより細菌付着を抑制できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細菌付着、細胞への影響に関する研究は順調に進展している。しかし、当初の予定にある、インプラントに使用される材料表面への唾液タンパク質吸着についての検討については少し遅れているため平成25年度に集中的に行う。 また、平成24年度は本研究について2度ほど国内の学会で発表し、平成24年度10月に開催された第60回日本歯科理工学会学術講演会で発表した演題について発表優秀賞を拝受した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はこれまでの研究に続き、①インプラント用材料表面への細菌付着、細胞への影響についてさらなる検討を行うこと。②試料表面への唾液タンパク質の吸着、LFの吸着について調べること。③海外の学会で成果を発表すること。④これまでの成果を論文にまとめること。 以上4点を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の直接経費は昨年度未使用分と合わせて752877円である。主に実験用の消耗品に使用するが、平成25年度は最終年度であるため国際学会での発表のための費用や論文の投稿費にも使用する必要がある。
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